米VMwareは米国サンフランシスコで開催された「VMworld 2010」において、クラウド環境向けの運用/管理製品「VMware vCloud Director」を発表した。

ここでは、7月に発表された仮想化プラットフォーム「VMware vSphere 4.1」の紹介も交えながら、VMware CTOのSteve Herrod氏が講演の中で行ったVMware vCloud Directorのデモの様子を簡単にお伝えしよう。

米VMware CTOのSteve Herrod氏

リソース集約能力が高まったvSphere 4.1

まずは、VMware vSphere(以下、vSphere) 4.1から触れておこう。

vSphereは、VMwareテクノロジーの基盤を成す仮想化プラットフォームである。単にOSとハードウェアを仲介するハイパーバイザーの役割だけではなく、ストレージやネットワークへのアクセスも仲介して巨大なリソースプールを作り上げることもできる。そのためHerrod氏は講演の中で、「いろんな別称で呼ばれることがあるが、個人的には"Virtual Giant"という表現がピッタリだと思う」と紹介した。

Virtual Giantと称されたvSphere

vSphere 4.1の最大の強化ポイントは、1つのプールとして集積できるコンピューティングリソースの量を大幅に引き上げた点である。Herrod氏は最初にVirtual Giantとしての基本機能に触れ、1クラスターで対応できる仮想マシンの数が前バージョンのvSphere 4.0と比べて2倍以上となる3000に上り、1つのvCenterで管理できるホスト/仮想マシンの数も従来比3倍の1000ホスト、10000仮想マシンとなったことを説明した。

さらに、その他の強化ポイントとして、「vMotion」が最大8つの仮想マシンを同時に移行できるようになったうえ、各仮想マシンの移行速度も従来比5倍にまで向上したことや、ストレージおよびネットワークのI/O能力を特定の仮想マシンに対して優先的に割り振れるようになり、SLAを保証しやすくなったことなども紹介した。

vSphere 4.1ではプールできるリソースの量が向上した

ネットワーク/ストレージのI/O能力を優先的に割り振る機能も搭載

vCloud DirectorでITインフラのApp Storeを構築

続いてHerrod氏は、VMworld 2010で強調されたコンセプト「IT as a Service」の実現に向けて欠かせない要素として、VMware 社長兼CEOのPaul Maritz氏が説明した"ビジネス・ユーザーのエクスペリエンスの変革"を改めて強調。「事業部のユーザーからすると、必要なときに必要なものが即座に手に入るITプラットフォームがほしいはず」としたうえで、「さまざまな種類のITサービス/実行環境がメニューとして並べられ、それらを即座に購入できるApp Storeのような仕組みがあれば満足してもらえるのではないか」とコメントした。

Herrod氏は、「App Storeのような仕組みが企業の中にも求められる」と説明

「SLAに応じて各部署が負担する費用も異なるべき」と強調

そうしたニーズを満たすための製品として、氏は今回新たに発表した「VMware vCloud Director」を紹介。vCenterと連携させて各種のコンピューティングリソースを簡単に組み合わせられるほか、SLAと費用の異なるサービスメニューを部署ごとに用意できる様子などを示した。

VMware vCloud Directorの管理者側の画面

仮想環境の割り当ても簡単

ここでは「VMware vCloud Datacener Services」として認定を受けているVerizonと連携させた

ユーザーの画面。利用可能なメニューが表示されている