格安で各駅停車の旅をしたいなら、まず思い浮かぶのが「青春18きっぷ」だろう。ただし、東北や北海道へ行くなら「北海道&東日本パス」のほうがおすすめだ。今夏よりリニューアルされたこのきっぷを持ち、筆者はお盆直前の11日、札幌へと一人旅に出た。だがその頃、日本列島には台風4号が接近していて……。

583系電車を使用した臨時快速「夏休み東北縦貫号」

「青春18きっぷ」で乗れない路線も乗り放題。急行にも乗れる

「北海道&東日本パス」(使用後)

同きっぷの詳細は既報の通りだが、1枚10,000円でJR東日本とJR北海道のほか、「青春18きっぷ」では乗れないIGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、北越急行、富士急行など全線で快速・普通列車の自由席に乗り放題となる。

今夏発売分より、価格は据え置きのまま、有効期間が5日間から7日間に延長されるなどのリニューアルが行われた。青森~札幌間を結ぶ急行「はまなす」に乗る際、このきっぷの他に急行券も必要となったが、自由席で全区間乗り通しても料金は1,260円、指定席なら1,770円。旅行内容によっては、原則的に特急や急行には乗れない「青春18きっぷ」(一部区間を除く)より便利になるかもしれない。

往年の寝台特急電車に乗り、東北本線を北上

11日の早朝6時に上野駅を出発し、2度の乗り換えを経て、4時間ほどで郡山駅に到着した。ここから盛岡駅まで、この日は583系電車を使用した臨時快速「夏休み東北縦貫号」が運行されるとのこと。

国鉄時代から寝台特急電車として活躍し、現在も根強い人気を誇る583系だけに、ホームでは多くの鉄道ファンがカメラを向けていた。中にはマイクを持参し、車内放送を録音する人の姿も。

乗車した11日は、お盆が近いだけに家族連れや鉄道ファンが多く見られた

福島や仙台にも停車しながら、のどかな田園風景が広がる東北本線を北上。盛岡駅では乗り換えの時間を利用し、名物の盛岡冷麺をいただいた

ところが、岩手県内に入ったところで急に雲行きが怪しくなり、盛岡駅に到着する直前で雨が降り出した。このとき、すでに台風4号は日本海上にあり、その影響で北日本の広い範囲で大雨が予想されていたという。

突然の大雨。山間の小駅で運転見合わせに…

盛岡駅からIGRいわて銀河鉄道の電車に乗るも、小繋駅の手前で激しい雨に見舞われ、18時頃、ついに電車はストップ。雨が小降りになった後も、「運転再開の見通しは立っていない」と車内放送が流れ続けた。

小繋駅は山間の小駅で、映画『待合室』(2005年)の舞台にもなった。ここで運転再開までの時間を過ごすことに

最初のうちは駅の周辺を散策するだけの余裕もあったが、運転見合せが長引くにつれ、このままだと青森発の急行「はまなす」に乗れないかも……と不安に。他の乗客たちも、徐々に口数が減っていった。