無料でビールが飲める場所があります。しかも激ウマ

やっぱり夏は冷たいビールだよね!

暑いときのビールほど旨いものはない。今年は猛暑の影響で、ビアガーデンが大盛況だというし、"居酒屋で女子会"がブームの流れで女子ばかりでビアガーデンに行く人たちも多いのだそう。男女問わず、暑いときはビールなのだ。でも、どうせ飲むなら旨いビールが飲みたい。ビールを極めるなら、ぜひとも行っていただきたいのがビール工場なのである。

先に言っておく。「できたてのビールは激ウマ」だ。今回、キリンビールのビール工場でできたての「キリン一番搾り生ビール」をいただいたのだが、「一番搾り」の特徴であるすっきり感が際立ち、非常にクリアな味わいで爽やか。しかし、旨味も十分。泡立ちも非常によく、感動レベルの味だった。

できたての「一番搾り」は格別

この感動を皆さんと共有したいと思い、筆をとった訳だ。ビール工場というと、都心のど真ん中というわけには行かないが、キリンビールのビール工場「横浜ビアビレッジ」は神奈川・生麦駅から徒歩10分ほどの場所にあり、東京からのアクセスが可能。できたてビールの試飲ができる工場見学ツアーは10時~16時30分の間の毎時00時、30分スタートで行っている(ただし、月曜日や年末年始などの休館日を除く・要予約)。

キリンビールのビール工場「横浜ビアビレッジ」

所要時間は70分で、ガイドさんが案内してくれるにもかかわらず料金は無料。無料で激ウマビールの試飲までできるだなんて、ビール好きなら押さえておくべし! なスポットだ。

キリンビール創業の地・横浜に工場が

ちなみに横浜は、キリンビール創業の地。1885年にキリンビールの前身「ジャパン・ブルワリー」が山手地区にて設立され、1888年には「キリンビール」が初めて発売された。その後、1907年には「麒麟麦酒株式会社」に引き継がれるも関東大震災で工場が全壊してしまう。しかしながらその3年後、現在の場所である生麦に横浜工場が誕生し、復活を遂げる。100年以上の歴史を持つキリンビールは、横浜生まれの企業だったというわけだ。

工場内に入ると、ちょっと香ばしいような独特の香り。これはビールの原料を煮込んでいる香りで、その時々の工程によって、一層香ばしかったり、ホップの香りがしたりと変化しているのだそう。その香りをかいでいるといますぐにでもビールが飲みたくなる。

独特の香りを持つホップ。中に入っている黄色い粉状のものが、ホップの種子であるルプリン。これがビールの苦みと香りのもとになる

見学ルートを進んでいくと、二条大麦の麦芽とホップを乾燥させたものが展示してある。これらからビールがつくられるわけだが、350ml缶のビール1缶をつくるために、手のひらいっぱいの麦芽とホップ5個が必要になるのだという。ホップにも様々な種類があるが、キリンビールでは、爽快な苦みを出すため、主にチェコ産のファインアロマホップを使っている。

次は、仕込みの過程へ。実際にビールが仕込まれている巨大な釜が、ガラス越しに見える。1~4番までの釜を順番に経ていく過程で、麦芽とホップ、水や副原料がビールへと変化していく。一度に130klの仕込みが可能で、そこから350ml缶37万本が製造される。なかなか想像しづらい数字だが、横浜工場でつくられたビールは関東圏の小売店や飲食店へと届けられ、私たちの喉を潤してくれる。

ずらりと並ぶ釜。釜の大きさは、最大のもので深さ7m

さて、次の工程は発酵、貯蔵である。麦汁にビール酵母を加えて約1週間タンクで発酵させたのち、0℃に保った貯蔵タンクで、1~2カ月かけてじっくり熟成。タンクは20mもの高さがあり、1本のタンクに、最大350ml缶148万本分が入る。キリンビール工場の中でも最大の生産能力を誇る横浜工場では、なんとそのタンクが131本もあるのだそう。ってことはつまり……と計算しかけたがやめておいた。気が遠くなります。

その後、酵母などを取り除くろ過の過程を経て、瓶・缶詰めされる。この後出荷されて私たちの元へと届けられ、"ビールの旅"が完結する。

工場内の様子。高速で缶詰される様子に目が回る……