発売開始から3カ月で、世界全体で300万台を超える販売を記録したiPad。日本でも急速にユーザーが増えていくなかで、iPadにフォーカスしたビジネスの動きも活発化しつつある。iPadを対象にしたeコマースはどうすれば成功するのか。

iPhoneアプリの企画・制作を行なうAPPLIYA Incが主催し、27日にApple Store, Ginzaで行なわれたストアイベント『iPadで体験するコマースの未来』では、iPadのeコマース活用法をテーマにしたディスカッションが行なわれた。APPLIYA Incの新城健一氏をコーディネーターとし、アプリ紹介サイトAPPBANKの村井智建氏、APPLIYA Incの椎谷ハレオ氏、ITジャーナリストの三橋ゆか里さんの3者が発言。ディスカッションでは、iPadアプリのコンテンツの見せ方、iPadアプリを作成すべき理由などといった観点から各人の意見が述べられた。以下、ディスカッションのやりとりを紹介する(以下、敬称略)。

身近な事例から探るiPadのeコマースの現状

村井 iPadを購入してから、デジタル機器にまったくなじみのない妻がiPadを使ってアマゾンと楽天でショッピングをしていた。iPadだとPCよりも起動時間が短くて、物を買うまでに時間がかからずイライラしないようで「iPad最高!」と喜んでいましたね。

IT機器になじみのない人でもiPadを簡単に使えると話す村井智建氏

椎谷 iPadが発売されたときに、YouTubeに子どもやお年寄りがiPadに触れている映像があったし、35歳以上がiPadユーザーの70%を占めているというデータもある。普段からPCに接していない人向けのデバイスですよね。三橋さんはどうですか。

三橋 これまで、iPadは従来のメディアにどう影響を与えるかが話題に多く上りましたが、実はeコマースに与える影響のほうが大きいんじゃないかと思っています。私もよくPCでネットショッピングをするのですが、PCだとマウスでクリックしたり、ページ遷移をしたりしなければいけない。 けれど、アメリカの会員制通販サイトの「GILT」というのがあって、そこのiPadアプリをダウンロードすると直接会員登録ができ、指一本ですぐに買い物ができてしまう。まだ、主婦の方は紙のカタログをみて、紙の注文書に記入して買い物をしている人が多いと思いますが、iPadの場合だと、アプリがお店の入り口になるわけですから、買い物の仕方が変わってくるんじゃないでしょうか。

ただ、日本の通販会社がこれから投資をするとなると、iPadよりもiPhoneになるような気がします。iPadはまだ、アーリーアダプターの持つデバイスですね。

椎谷 ちなみに、iPadからAPPBANKアプリへのアクセスはどのくらいですか。

村井 iPadからのアクセスは全体の25%。休日になると35%まで伸びることもあります。iPhoneのほうが普及しているけれど、iPadユーザーからのアクセスのほうが、アクティブですね。

iPad発売後の最初の週末で、iPadからのアクセスがサイト全体の7%になった。iPod touchからのアクセスをいきなり抜いてしまったし、Mac OSからのアクセスに迫る勢いです。すごいなと思いましたね。