28日に行われた東芝のCELLレブザ、レグザ、レグザレコーダーの新製品発表会で、同社の執行役上席常務、ビジュアルプロダクツ社の社長でもある大角氏が、製品の発表に先立ち、同社の映像事業の戦略について発言した。

国内市場では、高機能、高付加価値モデルで販売数を伸ばしていくことを表明した大角氏

まず、グローバル戦略では、新興国市場の重視を打ち出している。「2010年、世界の液晶テレビ需要は、1億7,000万台ほどと見込まれている。その中で、先進国の年平均成長率は2%程度しか見込めないのに対して、その他の新興国では26%といった高い数値が見込まれる。事業目標として、昨年度より明言している、2010年度に1,500万台という販売台数をを確実に達成していくために、BRICS/ASEAN地域を、より重視。さらに、2011年は、新興国にフォーカスを当てていく。現在、テレビの販売台数で、新興国の構成比は約10%だが、これを大きく伸ばし、30%を目指していきたい。商品に関しては、昨年の1.5倍となる、40モデルを投入する予定。また、中国、ASEANの営業拠点を強化することで、販売数量の拡大も目指して行く。生産に関しては、地域パートナーやODMを活用する。ODMは、従来は先進国を中心に行ってきたが、今後は、新興国においても積極的に進めていく。中国では、今年8月に、TCL集団とのジョイントベンチャー 東芝ビジュアルプロダクツ社中国社を設立する。TLC集団とは、今まで、AV機器だけでなく白物家電などでも提携してきた。中国では、販売店の数が販売数の拡大につながる。12年度に1万店を目標に拡大を薦めていきたい。とくに、成長が著しい内陸都市で、TCLの販売網と東芝の商品力で、販売台数を増やしていきたい。そこで提供する商品については、これまでは、自社生産の商品が中心だったが、エントリーモデルではTCLのコスト力を活かしたODM生産も行っていく。ASEAN市場では、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンを重要国ASEAN5として位置付け、拡販を進める。また、重要な販売地域であるASEAN地域の強化のために、この4月にアジアヘッドクォーターを設立した。新興国対応モデルとして、弱電解地域向けの高感度チューナーを搭載したテレビなど、2010年に、テレビだけで10モデルを投入予定。なお、インドネシアでは、東芝の液晶テレビのシェアは10%を超えている。これを、2011年には、最低でも15%に向上させたい」とのことだ。

続いて、国内映像事業戦略では、独自の3D技術を中心とした高機能モデルの展開と、テレビ以外のAV機器との事業連携効果を高めるための統合を進めていくとしている。「国内のテレビ市場は、今年1,700万台、あるいはそれ以上の販売台数が見込まれている状況。エコポイント制度がこの年末までで終了する見通しであることから、この年末商戦は、エコポイント駆け込み需要により、とくに12月は340万台という、対前年比185%となる大幅な伸びが予想される。なお、今後、テレビの買い増し、買い換えを考えている人のニーズは、ただ安いだけでなく、録画機能など、新しい機能や付加価値のある製品を望んでいる率が、70%以上となっている。ハードディスク録画モデルを2004年に発売し、2008年には超解像度技術を採用するなど、新し取り組みを行ってきたことに対しては、強い自負を持っている。夏から秋にかけて、重要な商戦のタイミングが間違いなくやって来る。そのなかで、「3D超解像技術」「高画質な2D→3D変換」「トップクラスの高輝度3D映像」という3つのポイントにより、立体感や質感を実現できる、東芝のユニークな3D、CELLレグザを今回発表する。また、テレビの周辺機器として、BDやDVDは、重要な位置を占める。プロダクトの事業連携効果を高めるために、昨年の10月にテレビ事業部とデジタルAV事業部を統合した。さらに、5月にテレビの開発部隊がいる深谷工場にDVDの技術部隊を集結。今後は、レコーダーもレグザブランドに統合する」と述べ、その後、新製品、CELLレグザの発表に移った。