シネックスは28日、同社が国内代理店として販売する独Carl Zeiss製3Dビデオグラス「cinemizer plus」の説明会を開催した。同製品は、すでに3月より直販サイトなどでの販売が開始されているが、今後量販店などへの本格的な展開が予定されており、それを前にしてあらためて製品の詳細についての紹介が行われた。

「cinemizer plus」

セールス・マーケティング部門のディレクターを務めるAndreas Klavehn氏

説明会では、まずCarl Zeissでセールス・マーケティング部門のディレクターを務めるAndreas Klavehn氏が、Carl Zeissのさまざまな事業について解説。医療・研究関連、産業化・工業化関連、ライフスタイル関連という3分野のソリューションを紹介した。cinemizer plusは、このうちライフスタイル関連の製品のひとつということになる。

続いて、プロダクトマネージャーのFranz Troppenhagen氏が登壇し、cinemizer plusについての具体的な説明を行った。氏によれば、Carl Zeissがビデオグラス製品の開発をはじめたのは10年前。その後に生まれた各種の製品の経験を活かして開発されたのが、cinemizer plusということになる。

プロダクトマネージャーのFranz Troppenhagen氏

とくに注力したのは快適に映像を見るための人間工学的な設計だという。柔らかい素材で作られたリアスライダーとノーズパッドを採用。また、右目と左目の間隔が異なるさまざまな人に対応できるよう、アイボックスを大きめにとる設計とした。さらに、リアスライダー、ノーズパッドを調整することにより、あらゆる顔にフィット。形状だけでなく、レンズの度数までも調整可能なので、ふだんメガネをかけている人でも裸眼でcinemizer plusを利用できる。

cinemizer plusを利用すると、装着者は44インチのスクリーンを2mの距離から見ているのと同じ感覚になるという。通常の2D映像の表示にも対応しているので、iTunes StoreやYoutubeから入手したビデオを普通に再生できるほか、Youtubeに多数アップロードされている3D対応のビデオを3Dで表示可能。サポートする3Dフォーマットはサイドバイサイド方式。これは右目用の映像と左目用の映像を並べて横方向に圧縮し、再生時に伸張して表示するものだ。

製品説明が一段落したところで、再びKlavehn氏が登壇し、cinemizer plusの顧客戦略を説明した。それによると、主たるターゲット顧客は最新技術に明るい若年層と先進の製品を求める多忙なビジネス層の2グループ。また、展示会などでの集客力の高さについてもアピールした。

その後は質疑応答。HD映像の3D化についてのビジョンについての質問については、「将来的なプランはあるが、現在のディスプレイサイズでHDの解像度を実現するのは難しい」という回答だった。また、他のヘッドマウントディスプレイやビデオグラスとの違いは? という質問については、人間工学的に優れた設計を最大のポイントとして挙げ、すでに長い歴史がありながらいまだ定着していない点については、iPod/iPhoneの普及に見られるようにポータブル機器の環境そのものが大きく変化していることから、この種の製品を受け入れられる市場が育っているのではないかという見方を示した。

最後にシネックスの中村明取締役EC事業部長が日本国内の販売について説明。cinemizer plusはこの春より通販サイトなどで試験的に販売してきたが大きな反響があったという。これを受けてシネックスが日本国内の代理店となり、今後本格的に大手量販店などでの販売を展開していく。シネックスではビデオグラス製品の市場を月間5,000台前後と見ており、クリスマス商戦までにはcinemizer plusで1,000台前後の販売を達成したいとした。

会場には体験用としてiPhone、PlayStation 3、iPod nanoが用意されており、実際の表示を体験できた