世界最北のビール工場はノルウェー・トロムソに

ビールが好きだ。国内外問わず、旅行の際には必ず地ビールを飲む。ケルシュやスタウト、ピルスナーといった種類だけでは分けきれない味の違いがそれぞれにあり、面白い。ただでさえビール好きなのに、"世界最北の工場で造られるビール"なんて謳い文句がついたら素通りできないに決まっているじゃないか。そのビールは、ノルウェー北極圏最大の街・トロムソにあるマックビール醸造所で造られていた。

トロムソ中心部にあるマックビール醸造所

トロムソは、北極圏の玄関口。ノルウェーの首都オスロからは空路で約2時間の場所だ。北極探検の寄港地となっており、港には世界で初めて南極点への到達を果たしたロアール・アムンセンの像がある。世界最北の大学もあり、オーロラ観測にも適した場所だ。この街にマックビール醸造所は1877年に創立された。第1弾商品はバイエルンビールの「ポートビール」で発売は1878年。1928年にはビアホールもオープンした。

1907年にはアルコールフリーの「モルトビール」を発売。同ビールは「ヴォルタビール」と名を変え、現在も販売されている。その他、同社からは約15種類の瓶・缶ビールが販売されており、「マック・ピルスナー」が看板商品。その他「バイエルン」「ボック」等の銘柄も人気を集めている。

朝9時から営業、しかも夕方には閉まるビアホール

早速、トロムソの中心部にあるビアホールを訪れてみる。なんとこの店、朝9時から営業しているのだ。しかも、夕方にはクローズ。つまりは、はしご酒の出発点となっていたり、「今日は休みだし、朝からビールを一杯」なんていう"朝マック"(!?)の場所だったりするわけである。

工場の向かい側にあるビアホール。半地下になっており、店内に入るとバーカウンターが迎えてくれる

ちなみに工場は道路を挟んだ向かい側にあり、工場見学ツアーを実施している。こちらは1名NOK150(ノルウェーの通貨はノルウェークローネ・2010年7月現在、NOK1=14.22円)。所要時間は40分ほどで、ノルウェー語と英語のみに対応となっている。

一番人気の「マック・ピルスナー」(写真はスモールサイズ330mlでNOK56)

早速、ビアホールで一番人気の「マック・ピルスナー」(スモールサイズ330mlでNOK56・ジョッキ500ml版も販売)をオーダー。取材時、外は吹雪に近い状態で、凍えそうになりながら店に到着したが、ノルウェーでは建物の中はとてもあたたか。店に着いてホッと一息つきつつ、ビールをグビッ。適度なホップの苦味に軽やかな喉越し。「はぁ~、やっぱコレだよね~」。寒さでカチコチになっていた体がゆるゆるとほぐれていく。日本人観光客もちらほらと来店するが、基本的には地元の人が多いようだ。新聞を読みながら1人で静かにビールを飲む人。仲間と一緒に賑やかに一杯やっている人々。そんな人たちを眺めながら、「さて。喉も潤ったし、そろそろディナーしに行くか! 」と店を出た。