【レポート】

ナイトミュージアムで三畳紀にタイプスリップ!?『地球最古の恐竜展』

    時田慎也  [2010/07/16]

    『地球最古の恐竜展』が7月10日、森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)にて始まった(主催:NHK、NHKプロモーション、森アーツセンター)。開催期間は9月26日まで(会期中無休)。恐竜研究のメッカとされるアルゼンチン・サンファン州での最新研究成果をまとめて紹介する日本初の機会であり、恐竜が誕生した三畳紀(さんじょうき)の世界が展示されている。その内容もさることながら、絶景を眺めながら特別な料理やドリンクも味わうことができ、東京の高層ビルでの恐竜展は、さまざまな点でこれまでにない楽しみに満ちている。

    三畳紀とは、どんな時代?

    最古の恐竜のひとつフレングエリサウルス。1986年、アルゼンチン・サンファン州で発見された

    恐竜が誕生したのは、今からおよそ2億2800万年前のこと。三畳紀の半ばにあたる時代だが、この三畳紀とはジュラ紀のひとつ前の時代だ。ちなみに、その次が白亜紀で約6550万年前に小惑星が衝突して恐竜は絶滅した。

    映画『ジュラシックパーク』があったように、恐竜の時代としてはジュラ紀の方がよく知られているだろう。三畳紀は恐竜だけではなく、ワニ類やほ乳類のなかまも登場し、繁栄した時代。恐竜もそれらの生きものたちと生き残りをかけて、戦いを繰り広げたという。恐竜は初めから「王者」ではなかったのである。

    これまでの恐竜に関する展示は、ジュラ紀など恐竜の繁栄時代を中心にしたものが多く、三畳紀がメインに扱われることは少なかったようだ。そういう点でも、今回の恐竜展は斬新で貴重な内容だといえるだろう。

    アルゼンチン・サンファン州のイスチグアラスト州立公園は、恐竜の時代がスタートした重要な地とされ、世界遺産にも登録されている。今回はサンファン国立大学自然科学博物館の協力により、化石、骨格・復元モデルなど23種81件におよぶ恐竜の起源を探る最新研究成果が紹介されている。

    その内容は、恐竜に興味を持っている人でも今まで知らなかったことが少なくないし、新発見も次々と出てきているという。これまでの恐竜の世界観が大きく変わることになるかもしれない。

    出口近くにはワニ類のなかまファソラスクスの復元モデルも置かれていて、東京タワーを背景に写真を撮影できる

    われわれほ乳類のなかまは…「キモカワ」!?

    恐竜展の会場に入ると、まずイスチグアラスト州立公園の風景が360度のパノラマ映像で流れている。三畳紀の地層が広がるこの大地は「月の谷」とも呼ばれている砂漠地帯。三畳紀には、ここで現代の脊椎動物につながる陸の生態系が始まったとされる。

    続くエリアには、ワニ類のなかまたちの骨格や復元モデルが並ぶ。ワニ類は恐竜の最大のライバルだった。ワニ類のなかまは今のワニとはまったく違う姿で、あまり恐竜と変わらないようにも見えてしまう。ジュラ紀の直前まで、ワニ類のなかまが最も強い生き物だったという。

    その先には、わたしたちほ乳類のなかまキノドン類の「エクサエレトドン」の復元モデルが展示されているが、これがかなりインパクトのある姿……。第一印象は不気味なのだが、どこか愛嬌も漂う、不思議な生き物で、「キモカワ」と言えるかも。この恐竜展では最も話題を呼びそうだ。おそらく一度その姿を見ると、忘れられないのではないだろうか。

    さらに先のエリアも興味深い。恐竜類とほ乳類のなかま、また恐竜類とワニ類のなかまなどの対決シーンが再現されているのは画期的だ。恐竜時代の生き物たちのかかわりが、わかりやすく、そして印象的な演出で目の前に繰り広げられていて、思わず見入ってしまう。

    最後のエリアには、最古の恐竜のひとつ「フレングエリサウルス」や、さまざまな恐竜に関する最新研究成果が並び、恐竜の誕生から絶滅までについて知ることができる。恐竜というものの定義が、実は新しい化石の発見によって次々と変わっていくものであることも初めて知った。恐竜研究の世界がいかにダイナミックなものかということも、今回の恐竜展で理解できる。

    恐竜たちの故郷イスチグアラスト州立公園の様子が映し出されるパノラマシアター

    ほ乳類のなかまであるイスチグアラスティアの骨格

    ワニ類のなかまであるシロスクスの骨格

    ワニ類のなかま、アエトサウロイデス(左)とプロテロチャンプサの復元モデル

    エクサエレトドン。その表情、毛が生えた背中など、インパクト大。歯が生えかわるという特徴があり、乳歯の子どもには親が母乳やエサを与えていた

    恐竜のフレングエリサウルスとほ乳類のなかまイスチグアラスティアの対決シーン

    ワニ類のなかまの中でも最も大型のサウロスクス。全長はおよそ7mもある。その頭骨は歯が大迫力だ

    毎週金曜日(閉館後)にはナイトミュージアムも開催

    今回の恐竜展の見どころは展示だけではない。恐竜レストラン・恐竜バーも話題だ。恐竜とコラボレートしたさまざまなメニューが味わえる。キッズプレートも用意されているので、家族連れにとっても楽しみだし、本格的なコースも提供される。オリジナルのカクテル類や、アルゼンチン産のワインなどもぜひ試したい。

    そして、何よりも海抜250mからの景色が眺められるのはこの会場の最大の魅力。都心の昼間の眺望や、きらびやかな夜景とともに、恐竜時代に思いを馳せるというのもおもしろいのではないだろうか。バーエリアには、ワニ類のなかまに恐竜が襲いかかる骨格標本が展示されている。

    また恐竜展は毎晩22時まで開館しているが、毎週金曜日には閉館後の22時15分から23時30分まで「ナイトミュージアム」が実施される。照明が暗くなった会場を、懐中電灯片手に探検するもので、普段は味わえないスリルが楽しめそうだ。

    なお、NHKではこの恐竜展に関連していくつかの恐竜番組の放映を予定している。こちらもチェックすれば、より恐竜の世界に親しむことができるに違いない。

    恐竜レストランのディナーメニューのひとつ「ダイナソーコース」。メインはワニ肉のミラノ風カツレツ

    ランチで提供される「キッズプレート」。恐竜型のミートパイやマドレーヌがかわいい

    「スイカとローズマリーのマティーニ」。紀元前5000年前にはすでに栽培されていたというスイカを使った爽快感のある一杯

    「マスカルポーネと塩のカクテル」。人類が作った最古の食品のひとつであるチーズを使った珍しい飲み物。濃厚な味わいが印象的

    恐竜バーエリアに展示されている2体の骨格。窓の外には絶景が広がり、なかなかユニークな空間を演出している

    ショップのグッズなども必見。アクセサリーやぬいぐるみ、Tシャツ、パズル、アルゼンチン産ワインなど、恐竜展ならではの興味深い品々がそろっている

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