東京 表参道に開かれていたアドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、「Flash CS5 meets LightWave 3D」が開催された。

LightWave 3Dとは、米国NewTekが開発している人気の3DCGアプリケーション。現在の最新バージョンは「v9.6」で、3DCGのモデリングからアニメーションまで行なえる統合ツールだ。イベントには、LightWave 3DとFlashを使って作品を制作しているクリエイター 城戸雅行氏と佐分利仁氏が登場した。

「LightWave 3D」には、「モデラー」と「レイアウト」のふたつのツールが内包されている。現在Windows版とMac版の2種類が発売されている

「LightWave 3D」と「Flash CS5」で行なうコンテンツ制作

ROXIK 城戸雅行氏は、Webコンテンツに3DCGを取り込んだ作品を制作

城戸雅行氏は、企業のWebサイトの企画・デザイン・制作を手がけているフリーランスクリエイター。城戸氏の講演は、「LightWave 3DとFlashをどのように組み合わせてコンテンツを作成しているか?」がテーマ。城戸氏はまず始めにLightWave 3Dの概要を紹介。LightWave 3Dでの作業は、内包されるふたつのツール「モデラー」と「レイアウト」を行ったり来たりしながら行なう。ちなみに、城戸氏が会場で使用したPCはCoreDuo N2300(1.5GHz)というごく一般的なビジネスノートPCだった。城戸氏は「実に軽い3DCGツールで、一世代前のマシンでも問題なく動くのが良いところ。MacBookでも安心して使える」とコメントした。

城戸氏によるLightWave 3Dの紹介デモ。ボーン機能によってロゴを変形させていた

城戸氏がLightWave 3DとFlashを組み合わせてコンテンツを作成し始めたのは、FlashPlayer8で画像を変形させる機能が搭載された頃。これを見た城戸氏は、「ポリゴンを表示できるのではないか」と思ったそうだ。しかし当時のFlashには3Dの機能は入っていないため、自分でプログラムを組む必要があったと言う。城戸氏は4~5年前にLightWave 3Dで作ったという魚がFlashで動くデモを紹介した。3D機能がないFlashにLightWave 3Dのデータを取り込んだ方法だが、3Dデータの各頂点の座標データを「OBJ」ファイル経由で取得し、Flashで扱える形に手動で書き換えたとのこと。この実験は成功し、次に城戸氏はオブジェクトを変形させたくなったという。そこで城戸氏は、人物の顔を変形させる作品の制作を開始した。

城戸氏がFlashで初めて3Dオブジェクトを扱った魚のデモ

顔をWebカメラで撮影し、ネット上でコミュニケーションを取るためのツールとして開発したとのこと

城戸氏は、それまでLightWave 3Dのデータを手動でFlashに書き換えていたのだが、簡単にエクスポート可能にするプログラムの開発を始めたという。LightWave 3Dには「LScript」と呼ばれる機能が搭載されており、これを使って直接Flashに読み込める形式に書き出せるエクスポータを完成させた。それによって生まれたコンテンツ『PICTAPS』が大きな反響を得た。これは自分で描いたイラストが踊り出すという楽しいコンテンツだ。

イベントでは、城戸氏の代表作である『エコだ!動物園』『全日本バーベイタム選手権』というWebコンテンツも紹介された。どちらもFlash上で3Dのオブジェクトが動き回る作品。LightWave 3DとFlashを使った魅力的な作品で、現在もサイトにアクセスすれば遊べる。ぜひ一度試してほしい。

手描きのイラストが瞬時に動き出す『PICTAPS』

かわいい動物たちの物語が飛び出す絵本で楽しめる『エコだ! 動物園』

メディアブランド「バーベイタム」の広告サイト。自分のロボットを他人のロボットと戦わせる楽しいコンテンツ

レポート後編では、佐分利仁氏の制作したコンテンツを紹介する予定だ。

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