AMDの6コアCPU「Phenom II X6 1055T」に省電力版が登場した。従来品では125WだったTDPが、95Wまで引き下げられている。先週末から東京・秋葉原のPCショップ等では販売が開始されており、実勢価格は従来品より2,000円ほど高い22,000円前後。人気CPUの省電力版だけに今回も注目を集めそうである。これを入手できたので、さっそく性能を試してみたいと思う。

左が「Phenom II X6 1055T」の95W版(OPN: HDT55TWFK6DGR)で、右が従来の125W版(OPN: HDT55TFBK6DGR)。見た目は一緒で、OPNの刻印が違うくらいだ

まずは仕様を確認してみよう。AMDがWebサイトで公開している製品仕様によれば、TDP125W版とTDP95W版のPhenom II X6 1055Tで主な違いは、動作電圧の部分であり、TDP95W版ではここが引き下げられている。2.8Ghzの動作クロックや、6MBのL3キャッシュ、Socket AM3のパッケージなどは変わらず、45nm SOIの製造プロセスも同じなら、コアステッピングもE0リビジョンのままだ。主な仕様の比較を以下の表にまとめた。

Phenom II X6 1055T(95W版) Phenom II X6 1055T(125W版)
Core Speed 2.8GHz 2.8GHz
CMOS 45nm SOI 45nm SOI
Revision E0 E0
Socket AM3 AM3
L1 Cache 128KB×6 128KB×6
L2 Cache 512KB×6 512KB×6
L3 Cache 6MB 6MB
Voltages 1.075V~1.375V 1.125V~1.400V
Max Temps 71度 62度
Wattage 95W 125W

なお、消費電力の低減で、動作温度も下がる関係だろうが、TDP95W版では、システム環境の温度の目安であるMax Tempsの制限もゆるくなっている。次いで、以下の画像はCPU-Zの表示の確認だ。ここでも、動作電圧をのぞけば両者の違いは無い。

こちらはCPU-Zの表示。左が95W版で、右が125W版