主要ブラウザのデザインが「Tabs on bottom」から「Tabs on top」へ移行しつつある。MozillaはFirefoxナイトリービルド版およびFirefox 4 beta 1版のデフォルトUIを「Tabs on top」へ変更した。要するに、従来のFirefox 3系のようなデザインから、Chromeのようなデザインへ変わろうとしている。これはただ流行に乗ってデザインを変更するというものではなく、機能的な理由がある。

上がTabs on bottom、下がTabs on the topのデザイン

Why Tabs are on Top in Firefox 4 « Alex Faaborgにおいて、Firefoxのデザイン担当者がなぜ「Tabs on top」をデフォルトに変更したのか、その理由を説明している。「Tabs on top」デザインの利点が簡潔にまとまっており参考になる。紹介されている主な理由は次の4つ。

  1. コンセプトモデルの変更 - 既存のFirefoxがブラウザ全体を制御しているというものから、タブに関連する制御がすべてまとまっているというモデルへ変更。UIに一貫性が生まれ、よりまとまった感じが出る。
  2. タブアプリケーションへの対応 - デスクトップアプリケーションにアドレスバーが存在しないように、Webアプリケーションそのものにもアドレスバーは不要。アドレスバーがタブの外にある「Tabs on bottom」ではその領域が無駄になってしまう。「Tabs on top」であれば、必要なWebページにはアドレスバーを表示し、不要なWebアプリケーションでは表示しない、といった制御が実施できる。
  3. タブベースFirefox UI - これまでダイアログとして分離していた機能をコンテンツ領域へ統合している。こうした元ダイアログにもアドレスバーは不要であり、タブアプリケーションと同じ理由で「Tabs on top」の方が有利となる。
  4. 通知機能 - アドレスバーの下に通知メッセージを表示するようなケース、たとえばログイン管理機能のダイアログなどだが、これは「Tabs on bottom」のデザインではタブを隠してしまい使い物にならない。「Tabs on top」であればスマートに活用できる。

Firefoxが制御するという概念から、タブごとに制御がまとまっているという概念への変更

デスクトップアプリケーションにアドレスバーが用意されていないように、Webアプリにとってもアドレスバーは不要

コンテンツエリアに統合された設定パネルやアドオンパネルなどもアドレスバーは不要

ログイン管理機能は「Tabs on bottom」ではタブを隠してしまい使い物にならない

「Tabs on top」か「Tabs on bottom」かは設定で簡単に変更可能

しかし従来からUIの大幅な変更はユーザに混乱を与えるとして慎重な姿勢をとってきたMozillaは、デフォルトのデザインを「Tabs on top」に変更したとはいえ、ツールバーの上で右クリックしてポップアップメニューを表示し、該当するメニュー項目の選択をはずすことですぐに「Tabs on bottom」に戻せる点を強調している。強制的にUIが切り替わるわけではなくどちらのデザインでも利用できるため、従来のデザインを好む場合には設定を変更すればいい。