iPadやiPhoneの場合、iTunesを経由して事前にファイルを取り込んでおけば、自分の好きな場所で読書や資料の読み込みができて非常に便利だ。しかし、せっかくWi-Fiや3Gなどの無線通信機能が搭載されているのに、毎回USBケーブルで電子文書を転送するのは、ちょっとスマートさに欠ける気もする。また、外出先で突然資料が必要になった場合など、そもそもパソコンが手元にないこともある。

そんなときに活躍するのが「クラウドサービス」だ。クラウドサービスとは、簡単に言えばネットワーク経由でさまざまなサービスを提供するもので、GoogleのGmailやGoogleカレンダーなどもその一種である。

モバイル端末でも利用できるクラウドサービスとしては、情報管理ソフト「Evernote」やオンラインストレージ「SugarSync」などの人気が高い。これらのサービスを利用すると、複数のパソコンやモバイル端末との間で、簡単にデータを共有することができる。もちろん、ScanSnapで電子化したデータも共有可能だ。

Windows用の「Evernote」の画面。テキストやWebページの切り抜き、画像、PDFなど、さまざまなデータを管理できる

iPad用の「Evernote」アプリの画面。ネットワーク経由で自動的に同期が行われるため、母艦のパソコンと常に同じ内容を検索・閲覧することができる

たとえばEvernoteの場合、次のような方法でデータを共有できる。

  1. EvernoteのWebサイトで無料アカウントを作成しておく
  2. 複数のパソコンやモバイル端末でEvernoteのクライアントアプリをダウンロードしてインストール
  3. いずれかの端末のEvernoteアプリで新規ノートを作成。ノートには、テキストはもちろん、画像やPDF、Webページのクリッピングなど、さまざまなデータを記録できる
  4. 別の端末でEvernoteアプリを起動すると、ネットワーク経由で自動的に同期が行われ、先ほど作成したノートを閲覧できる

言ってみれば、Evernoteはネットワーク経由で自動同期できるメモ帳アプリである。ただし、テキストに限らず、PDFや画像、動画などあらゆるデータを記録でき、画像内の文字や手書き文字を認識して検索可能な点が普通のメモ帳と異なる。また、各ノートにはタグをつけて整理することも可能。そのため、ScanSnapで電子化した文書をEvernoteでノートとして保存しておけば、出先で突然その資料が必要になっても、モバイル端末から素早く簡単に目的の資料を探し出せる。

iPad用の「Evernote」アプリでScanSnapのPDFカタログを表示させたところ。このようにメーカーが配布している製品カタログのPDFファイルなども、そのまま表示できる。もちろん、ScanSnapを利用し作成したPDFデータもEvernoteに保存しておけば閲覧可能だ