Windows Internet Explorer 9

IE9のSVGサポートがほぼ確定していることや、HTML5で直にSVGを記述できることもあって、今後はWebページやWebアプリケーションにおいてSVGの採用事例が増えるとみられる。現状をみると、IE9で実装されるのはSVG 1.1の一部ということになる。SVG 1.1の仕様は規模が大きく、すべてをサポートしたブラウザは存在していない。IE9ではほかのブラウザが実装している機能などを中心に実装を進め、互換性の高い状態での実現を目指す。

なぜ一部の機能しか実装しないのか、どういった問題があるのかといったことがGetting to SVG 2.0: A report from the SVG Working Group Face-to-Face (May 24th - June 1st 2010) - IEBlogで紹介されている。SVG策定に関する進捗やコンセンサスについても簡単にまとまっており参考になる。まず同ブログでは、5月24日から6月1日まで開催されたSVG WGの会議の内容から、次の2つの事項を紹介。

  • SVG 1.1 2nd Editionは作業の完了を目指す。まず次のステップとしてProposed Recommendationへフェーズを進める。現在はテストツールの品質や実現性を分析している。
  • SVG 2.0に関する取り組みを強化。特に注目すべきはSVG Fontsとモジュールについて。HTML5とSVGは異なる面があるため、一貫した仕様にしていく必要がある。

SVG 2.0でモジュール化を進めるというのは、WGでの一致した見解になっているという。モジュールへの分割は標準化へ向けた作業が進めやすくなるほか、SVG 2.0を利用するユーザにも大きな仕様を覚える必要がなくなるという利点があるという。

HTML5/CSSとSVGには広範囲に渡ってお互いに重複している部分がある。こうした部分を議論し、どの機能を残し、どの機能を取り込むか、どのようにHTML5/CSSとSVGとの一貫性を実現していくのかが今後の議論主体のひとつになるという。たとえばSVG FontsとWOFFであったり、SVGアニメーション(SMIL)とCSSアニメーションなどだ。

SVG Fontsを例にあげると、すでに仕様があり実装系が存在するSVG Tiny 1.2 fontsを採用するべきという意見に対して、ブラウザの対応が低いこともあり採用は見送ってもいいのではないか、またはWOFFを使うべきではないか、といった意見がある。一方、グラフィックアプリケーションはすでにSVG Tiny 1.2 fontsを実装しているため、SVG 2.0でも採用すべきといった意見もある。まだSVG WGとしての結論はでていない。