ビジネスからホビーまで実に様々な活用方法が提案されているiPhone/iPod touch。今回紹介するのは、そんなiPhone/iPod touchを強力なギターアンプ&エフェクタに変えるIK Multimediaの「AmpliTube iRig」だ。現在開発中のiRig(2010年7月発売予定)をいち早く体験し、気になるサウンドや使い勝手などについて紹介していこう。

本製品は、PC用高性能アンプシミュレータなどの開発でも実績のあるIK Multimediaにより開発されたコンパクトなギターソリューションだ

iPhone/iPod Touchに搭載されたオーディオ入出力(ヘッドフォン/マイク端子)に、ギターをダイレクトに接続するための専用ケーブル(市場予想価格:4,830円)と、専用のエフェクト/アンプシミュレータ専用アプリ「AmpliTube for iPhone」で構成されている本製品。セットアップも極めてシンプルで、楽器に詳しくないユーザーでも簡単に利用することが可能。専用ケーブルの標準フォーン入力にギターやベースを接続し、もう一方のステレオミニ端子をiPhone/iPod Touchに接続すれば準備は完了だ。しかも、専用ケーブルにはヘッドフォンまたはアンプ内蔵スピーカー(ライン)に接続できるステレオミニ出力も装備されているので、モニタリングも問題なく行える。

アプリとは別売される専用ケーブルは、1本でギター/ベースなどの楽器入力からヘッドフォン出力までを同時に行うことができる。また、他の音楽アプリでも汎用的に利用することができるのも嬉しい

AmpliTube for iPhoneを起動すると、ギタリストにはお馴染みのアンプやキャビネット、マイクなどを模した画面が表示される。プロにも愛用されているAmpliTubeシリーズ直系の10種のストンプエフェクト、5種のアンプ、5種のキャビネット、2種のマイクが用意されており、ハイクオリティーなサウンドを手軽に再現可能となっている。本アプリは、収録モデルの数によりFREE版(無償)/LE版(2.99ドル)/Full版(19.99ドル)の3種類がラインナップされており、それぞれのユーザーのニーズに合わせてアプリを選択できる。下位バージョンでは、アプリ内課金にてストンプ(2.99ドル)/アンプ+キャビネット(4.99ドル)の個別追加にも対応する。ちなみに、アプリ購入後にユーザー登録することで、「Overdrive」エフェクトが無償提供されるとのこと。

FULL版では、5種のアンプ、5種のキャビネット、2種のマイクを自由に組み合わせて好みのオリジナルサウンドを構築可能。なお、惜しむらくはマイクの距離感の調整ができないこと位だろうか。ぜひ今後のアップデートで対応を期待したい

豊富なバリエーションが用意されたストンプエフェクト。現時点で正式にアナウンスされているのは、ディストーション/ディレイ/コーラス/ワウ/フランジャー/オクターブ/エンベロープフィルタ/フェイザー/ファズ/オーバードライブの10種類

試用時のバージョンでは、これまでアナウンスされていなかったコンパクトエフェクタ「ノイズフィルタ」を発見することができた。リリースまでには、さらにエフェクトなどが追加される可能性もあるらしく非常に楽しみだ

さて、気になるサウンドについてだが、所詮iPhone上のエフェクタと侮っていた筆者にとっては嬉しい誤算であったが、その音圧やステレオ感、ディストーションのドライブ感など、どれをとってもギタリストにとって満足のいく絶妙なものに仕上げられているといった印象を受けた(ヘッドホンでの試聴)。また、アンプ/キャビネット/マイク/エフェクトの組み合わせによる音作りの楽しさや醍醐味も十分に堪能できた。さらに、もうひとつのポイントが、ソフトウェア・エフェクトの宿命ともいえるレイテンシーだ。これについても、実際の試奏において違和感を感じることはなかった。かなり早いパッセージなどでも十分に対応でき、設定画面で「ULTRA-LOW」モードに選択することで、より高速なレイテンシーを実現することも可能であった(アプリ開発中のため数値的なスペックは未公表)。

通常は「LOW」モードで十分な演奏を行えるだろう。それでも気になるシビアな人向けには「ULTRA-LOW」モードがオススメだ。iPhone 3Gで試奏を行ったが特に音ギレなどは発生することもなかった

楽器の練習や調整にも便利なチューナー、およびメトロノーム、さらに手軽に内蔵サウンドを確認できるオーディオデモなどの機能も搭載されている

これらのことから、本製品はギター/ベースをこれからはじめたいと思っているiPhone/iPod touchユーザーから、昔買ったギターが戸棚の奥に眠っているといった40代/50代のユーザーまで、多くのユーザーが楽しめる音楽アイテムだといえるだろう。

※今回試用したアプリについては開発途中のものであり、最終的な仕様などが異なる場合がある。