2010年3月6日の公開以来、ロングラン上映の続く『イヴの時間 劇場版』だが、池袋テアトルダイヤでの上映が6月4日(金)に終了することをうけて、5月27日に「ファン感謝ラストイベント」が開催された。

生コメンタリーに挑んだ吉浦監督(右)と水市恵氏(左)

今回行われたイベントは、「舞台挨拶の短い時間だけではなく、ファンの方に向けてディープにたっぷりと『イヴの時間 劇場版』を語りたい」という吉浦康裕監督が自ら発案した"生コメンタリー"付きの上映会。吉浦監督のほか、ノベライズ作品「イヴの時間 another act」(ガガガ文庫)の著者である水市恵氏とプロデューサーの長江努氏の3人が、上映中の映画に生でコメンタリーをつけるというもので、台本もないまったくのぶっつけ本番という、まさに一夜限りの特別イベントとなった。

特別な上映会のため、参加者は基本的にリピーター限定となったが、今回のイベントで初めて"劇場版"を観るという観客も。しかし、「最初にコメンタリーを観たがる方もいらっしゃいますから」という吉浦監督は、「僕もコンテ集から先に見たアニメがあります(笑)」と笑顔をみせる。

生コメンタリーでは、作中に出てくる電話機に「これはうちのスタジオのものです」、部屋の描写に「これはうちの実家です」といった裏ネタから、「この描写にはモーフィングを使っています」などのテクニカルな話、さらにはWEB配信版と劇場版で変更されている点などをこと細かに解説する吉浦監督。普通なら聞き逃してしまうようなモブのセリフへのこだわりや、「なぜここでメガネをかけているかというと、僕の趣味です(笑)」といった思わぬ告白など、何度も劇場版をチェックしている観客にとっても目から鱗のエピソードが満載で、1時間46分の上映は、終始、驚きと笑いに包まれたものとなった。

生コメンタリー終了後に行われたトークショーでは、喋っている間にシーンが進んでしまうため、「4分の1ぐらいしか喋れなかった」という吉浦監督。「機会があればまたやりたい」とさらなる意欲を見せていた。

生コメンタリー終了後には長江努氏(左)、吉浦監督(中央)、水市恵氏(右)によるトークショーも行われた。トークショーでは、7月28日に発売されるBlu-ray版の特典として用意される、吉浦監督描き下ろしによる小説版の一節を、吉浦監督自らが朗読するシーンも

なお、池袋テアトルダイヤでの公開は6月4日(金)で終了となる『イブの時間 劇場版』だが、5月29日より吉浦監督の地元である福岡(シネ・リーブル博多駅)での公開が開始となったほか、今後も宮城、静岡、広島、岩手などでの上映も行われる。配給はアスミック・エース。

観客からの撮影にも気軽に応じる吉浦監督と水市氏

イベント終了後に行われたサイン会の様子

おなじみ「イヴレンド」も登場。吉浦監督のサイン入りタンブラーも販売された

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