【レポート】

Android携帯でHTCと特許契約を結んだMicrosoft、狙いはGoogle&Appleか?

 

MicrosoftとHTCの特許契約締結で、Nexus Oneが微妙な立場に!?

米Microsoftと台湾HTCは4月27日、「Android」を搭載した携帯電話について特許ライセンス契約を結んだことを発表した。これにより、HTC製のAndroid携帯電話にMicrosoftの特許保護が適用されることになる。ライバルの米Googleに対する間接的な攻撃とみえるが、HTCは米Appleから特許侵害で提訴されているなどの事情もあり、さまざまな含みや狙いがありそうだ。

プレスリリースで2社は、Androidモバイルプラットフォームが動くHTC製携帯電話に関して特許ライセンス契約を結んだこと、2社は今後も技術と商用化において協業していくことを発表。具体的な特許や金額など、具体的な詳細情報はいっさい開示していない。

まず、今回の件の背景として重要となりそうなHTCの3つの側面を挙げてみる。1つ目は、AndroidメーカーとしてのHTCだ。HTCは2008年に発表した初のAndroid携帯電話「HTC Dream」にはじまり最新機種「Droid Incredible」、日本で提供が決まっている「HTC Desire」、さらにはGoogleブランドの「Nexus One」を手がける。言うまでもなく、GoogleのAndroid戦略において、なくてはならない存在だ。

HTCの2つ目の重要な側面は、同社がMicrosoftの「Windows Mobile」機種も多数作成していることだ。その中には「HTC TouchPro 2」などのヒット作もあり、同社はMicrosoftのモバイル戦略においても重要なメーカーとなる。なお、HTCはMicrosoftが今年2月に「Windows Phone 7 Series」を発表した際、採用を公式に表明している。

3つ目がAppleだ。HTCは今年3月、Appleより自社携帯電話がAppleの特許を侵害しているとする特許訴訟を起こされている。Appleは「iPhone」のユーザーインタフェース、土台となるアーキテクチャ、ハードウェアが関係する20件の特許をHTCが侵害していると主張しているが、ここではHTCのAndroid端末とWindows Mobile端末の両方が対象となっている。

この3つの側面を踏まえてMicrosoftの動きを見ると、まずは拡大しつつあるAndroidに対する牽制ととらえることができる。Microsoftの副社長兼知的財産・ライセンス担当副法務顧問のHoracio Gutierrez氏は、Bloombergなどの米ニュースサイトに対し電子メールで声明文を発表、「Microsoftは数十年単位でソフトウェアプラットフォームに投資を続けた結果、膨大な特許ポートフォリオを構築しており、顧客、パートナー各社、株主に対して競合企業が"タダ乗り"しないよう示す責任がある」という旨を記しているという。そして、HTC以外の企業とも、同様の話し合いを進めていることを認めている。

Microsoftはスマートフォンにおいて苦戦しており、HTCはもちろん、韓国Samsung、韓国LG、米Motorola、英Sony Ericssonとパートナーの多くがAndroid陣営に参加してAndroid機種を作成している。GoogleはAndroidをオープンソースとして提供することで、ライセンス料に悩むメーカーに魅力的な選択肢を与えた。スマートフォンがミッドレンジに拡大するにつれて価格競争が激しくなると、Androidという選択肢はさらに魅力を増すだろう。市場が本格化するにあたり、最大手HTCが合意したことで、Microsoftはメーカー各社に対し、Androidはフリーではないというメッセージを示した、と見ることができる。

HTCの社長兼CEO Peter Chou氏。今回のMicrosoftとの特許契約に関する内容はいっさい開示されていない

さらには、HTCという先例を作り他社が同じような合意に応じた場合、Microsoftはリスクや不確実性を利用してAndroidの採用を減速させることを狙いつつ、採用したとしてもAndroidを利用して収益を得られるという巧妙なメカニズムを作ることになるのかもしれない。

スコープをAndroidから拡大するなら、Androidが土台とするLinuxに対するメッセージともとれる。Microsoftは2007年、Linuxなどのオープンソースソフトウェアは235件の自社特許を侵害していると主張しているからだ。

では、Apple対HTCではどのような意味を持つのか。ここは、Appleと一緒になってGoogle叩きに出たとみるか、AppleからHTCを保護するのかで見解が分かれそうだ。

興味深いのは、先のGutierrez氏がAppleがHTCを提訴した際に、公式ブログで見解を示していることだ。「スマートフォン分野はまだ黎明期にあり、今後さらなるイノベーションが起こるだろう。黎明期にあるすべての市場でいえることだが、IP権利が整理されていく時期がある。これは、これまでスタンダロン技術として提供されていたものが1つの端末で提供されるスマートフォンでは、特に当てはまることだ」。

一読すると、Androidというフリーのスマートフォンプラットフォームが多くのIPを侵害しているという点でAppleの行為に同調するものと見える。一方のHTCはAppleと戦う意志を表明しており、Microsoftの動きは対GoogleでAppleの動きを支援するつもりなのか、Appleと戦うHTCを保護するのか、あるいはその両方なのか、まだ見えてこない。

さまざまな分析が可能だが、回答が待たれるのがGoogleだ。Googleはこれまでのところ、HTCに対するAppleの動きにもMicrosoftの動きにも沈黙を保っているが、自社ブランドのNexus Oneがそれほど成功しておらず、Androidでは引き続きHTCをはじめとしたOEMメーカーを必要とする。Android繁栄のためには、特許侵害の懸念を何らかの形で払拭する必要がありそうだ。

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