今回、Microsoft Online Servicesを試してみよ、との指令を受けた。担当はSharePoint Online。ファイル共有、Wiki、ブログ、ワークフローといった機能をもつ、クラウド型のグループウェアサービスである。

執筆者紹介

鶴田 展之(TSURUTA Nobuyuki) - qnote 代表取締役


代表取締役としての職務をこなす一方で、現役の開発者・テクニカルライターとしても活躍する。主要開発言語はPHP。各種フレームワークとオープンソースデータべースを組み合わせた開発を年間数十件こなしている。

Microsoft技術に疎遠な弊社

まずは自己紹介をさせていただこう。あらかじめエクスキューズしておくと、筆者はMS製品に関しては完全に門外漢である。株式会社qnoteという会社の代表を務めているのだが、業務内容はLinuxプラットフォームを中心としたオープンソースソフトウェアによるシステムインテグレーション。社内のネットワークもサーバ類はすべてLinuxだし、6名のスタッフ含め、クライアントもほとんどMacで統一されている。特にアンチMSを標榜しているつもりはないのだが、コストをかけないようにケチケチしていたら、いつのまにかそんな構成になっていた。

社内の情報共有も、オープンソースとMacの機能でやりくりしている。スタッフ同士の連絡や報告は、SNS「OpenPNE」を活用。リアルタイムな連絡はMac OS X標準のメッセージング機能「iChat」で話すことが多く、もうちょっとフォーマルな話題の場合は、fmlを使ったメーリングリストで議論する。ドキュメントの共有は、Linux + Sambaで構築した古典的なファイルサーバもあるが、最近はRubyで書かれたBTS「redmine」上で、プロジェクトごとに行うことも多い。

そんな我が社がSharePoint Onlineを使うと、業務はどう変わるか。そもそも、みんなMacなんだけど、ちゃんと使えるのだろうか……。なんとなく、この企画に参加すること自体に無理がある気もするが、フリーソフトウェア万歳でプロプライエタリな世界は全否定みたいな、アンバランスな思想もよろしくない。ここはひとつ、血中MS濃度の低さをプラスと考え、まっさらな目で、クラウド型サービスとしてのSharePoint Onlineの機能を評価してみたいと思う。

早速、SharePoint Onlineの設定へ

早速、SharePoint Onlineを活用すべく、設定にとりかかることにする。Microsoft Online Services管理センターへの登録については、他の方が詳しく解説すると思うので割愛する。

サブスクリプション完了のメールが届いたら、管理センターにアクセスしよう。ここで注意しなければいけないのは、使用するWebブラウザの選択である。もはやMac版のIEが存在しない今、主要な選択肢はSafari、もしくはFirefoxということになるわけだが、Microsoft Online Servicesの管理センターにおいて、Safariの使用は避けた方が良さそうだ。例えば、「新しいユーザーの追加」をクリックしても、マウスポインタが時計になったまま固まってしまうなど、JavaScriptの動作に不安定な点が多かった。一方Firefoxでは、今回試した基本的な動作に限っては、特に大きな不具合もなく動作する。

ユーザー登録開始、一部に相性の問題?

さて、まず最初にすべきは、社内の6名のスタッフをMicrosoft Online Servicesのユーザーとして登録する作業だ。管理センターでは、ユーザーを個別にひとりずつ登録することも、CSVファイルから一括インポートすることもできる。CSVのサンプルデータも用意されていて、多数のユーザーを一度に登録できるのは親切だ。なお、筆者はExcelを持っていないので、今回はiWorkのNumbersでCSVサンプルを開いて編集したが、UTF-8エンコーディングでCSVファイルを出力すること、必須フィールドを必ず埋めること以外、特に注意すべきこともなくスムーズに登録できた。

ユーザー登録が済んだら、各ユーザーにログインしてもらおう。Microsoft Online Servicesには、ログインを自動化する便利なサインインツール「Microsoft Online Services Sign In」があるのだが、なんと、ありがたいことにMac版も用意されている。

ただ、このサインインツールはFirefoxとの相性が今ひとつ。Safariをデフォルトブラウザに設定していれば認証された状態でポータルを開けるのだが、Firefoxではブラウザ上で再度ログイン操作が必要になってしまう。痛し痒しだが、MacユーザがMicrosoft Online Servicesを利用する場合、管理者はFirefox、一般ユーザはSafariのように棲み分けることも必要になりそうだ。

以上で、Microsoft Online Servicesを使っていく準備はあらかた整った。次は、いよいよSharePoint Onlineを設定して、スタッフが使いやすいようにサイトを構成していく作業だ。