4月13~14日、北京にてIDF Beijing 2010が開催された。IDFが中国で行われ始めたのは結構前の話であるが、International IDFとして位置づけられたのは2007年が最初だったと記憶している。2008年は上海に移動、2009年は再び北京に戻るが、この2009年は不況の影響もあり、International IDFは秋にSan Franciscoで開催されたものだけになり、IDF Beijing 2009はLocal IDFと位置づけられた。今年は再びInternational IDFに位置づけを戻しての開催である。

とか書いておきながら何だが、筆者は今年も北京には行っていない。そんなわけで、IDF開催後に公開された資料などを基に、ハイライトというか興味深いポイントだけをかいつまんで御紹介したいと思う。

Photo01: Executive Vice President, General Manager, Intel Architecture GroupのDavid Perlmutter氏。Pat Gelsinger氏が去り、おまけにSean Maloney氏(Executive Vice President, General Manager, Intel Architecture Group)が病気療養中とあって、ほぼIntelの全製品ラインの紹介が氏の役割になってしまったようだ。ちなみにこの写真はIntelが撮影したものを拝借している。

Sandy Bridge...は余り新情報なし

こちらの塩田氏の現地レポートにもある通り、初日の基調講演で、David Perlmutter氏がSandy Bridgeのウェハを公開した(Photo01,02)のが唯一新しい情報といったところか。プレゼンテーションも軽く流されており、基調講演におけるデモも、例えばAVX命令を使う事で医療向けのCT映像のスライスのVolume Renderingが遥かに高速に出来るようになるとか、動画の動き認識(Motion Recognization)やこれを使っての映像のリアルタイム編集が遥かに高速に実施できるようになることが示された程度であった。

Photo02: Photo01からウェハを中心に拡大したのがこちら。

Photo03: 特に目新しい情報は無い。

Photo04: こちらも同様。

ちなみにこの動画の動き認識については、Intel Demo TeamによるBackstage動画が公開されており、AVXを使わないと35秒掛かるものが、AVXを使う事で14秒で済む事が示されているが、まぁその程度だ。強いて言えば、このSandy Bridgeを使った製品が今年第4四半期にリリースされることが明言された、という程度だろうか。

ということで、以下色々と穿り返した話を。まずSandy Bridgeのダイサイズだが、Photo02を見ると300mmウェハで、概ね横28.5個×縦14個といったところである。ダイからチップを切り出す際の切り代を考えなければSandy Bridgeのダイは21.4mm×10.5mmということになるが、実際は切り代が多少あるから21mm×10mmといったあたりか。なので210平方mm程度のダイサイズに収まる模様だ。

Photo05: GPUの下の方とかが隠れてしまっているので、このあたりは完全に筆者の推定である。

さてその中身だが、先のPhoto03の写真を無理やり引き伸ばし、かつレイアウトを推察してみたのがPhoto05である。21mm×10mmという数字が正しいと仮定した場合、コア1個分のサイズは3.3mm×5.5mm=18.2平方mm、L3キャッシュは13.3mm×3.3mm=43.9平方mmといったあたりになる。これと同じような試算を、ここで示したWestmere-6Pに対して行ってみると、概ねCPUコアが18.1平方mm、L3キャッシュが58.7平方mmとなる。Sandy BridgeもWestmere-6Pも同じ32nmプロセスだから、例えばSRAMの構成などは同じと仮定した場合、

・CPUコアのサイズは殆ど同一(ラフな試算なので、±10%程度の誤差はあるかもしれない)
・面積比から考えてL3のサイズは9MB程度

ではないか、と想像される。もっとも9MBというのはいかにも収まりが悪い。Photo05を見てみると、大きく4つのブロックに分割されるが、中央の恐らくTAGが入っている部分に多少空白っぽいところが見られる。なので、実際は8MBとするのが正しいように思われる。