世界的に注目を集める"位置情報サービス"

4月2日、「第5回 ジオメディアサミット」が東京大学・駒場で開催された。ジオメディアとは位置情報を利用したメディアやサービスのことで、ジオメディアサミットは同業界を盛り上げることを目的として年2回のペースで開催されている。第5回となる今回は300名を超える参加者が集まり、立ち見が出るほどの盛況ぶりであった。

講演する「TechWave」編集長・湯川鶴章氏。ジオメディアベンチャーは「巨人の前を行かず、肩に乗れ」と提唱

第1部として行われたのが、ブログメディア「TechWave」編集長・湯川鶴章氏の講演「グローバルサービスとGeomedia」だ。講演の前半で湯川氏は、世界的にジオメディアに注目が集まっていると述べ、位置情報を利用したiPhoneアプリやオンラインサービスを紹介した。ひとつ目に紹介されたのは、日本でも使われ始めている「foursquare」。街に出掛け、GPS機能の付いたモバイルで各所に"チェックイン"するアプリである。急速的にユーザー数を伸ばしていて、近いうちに全世界で100万ユーザーを突破する見込みとのこと。日本では国会議員のTwitter利用が話題になっているが、米国ではfoursquareを使う議員が出てきており、日本でも同じことが起こるのではないかと指摘した。

さらに、近くにある店舗のレビューを掲載する「Yelp」、本当の友達とだけ情報が共有できるSNS「Rally Up」、街を歩いていると近くの店のクーポンが送られてくる「Placecast」、誰とどこでランチするかを調整できる「LunchWalla」などが紹介された。

講演の後半は、「日本のジオメディアのプレーヤーが気を付けるべきこと」にテーマが移った。先述のLunchWallaの特徴は、「Facebook Connect」でサインアップでき、"Facebookでの人間関係そのままを持って来られる"点だと指摘。最近の米国のトレンドとして、FacebookやTwitterを人間関係のインフラとして利用し、FacebookやTwitterの1コーナーのように使えるものが増えていると述べた。

その上で、最終的にはユーザー数の多いサービスが勝つとして、大手がジオメディアベンチャーを飲み込むのではないかと予想した。そして、湯川氏が提唱したのが、「巨人の前を歩くな、(巨人の)肩に乗れ」というフレーズ。GoogleやApple、Facebookといった"巨人"に先行するのではなく、インフラとして利用するのが良いとした。また、大手の進出しない領域として、「体育会系ウェブ企業」や「訳が分からないサービス」の2つを挙げて講演を締めくくった。

大手SNSプラットフォームと位置情報ゲーム

ジオメディアサミットの第2部では、「ソーシャルプラットフォームとGeomedia」というテーマでパネルディスカッションが行われた。モデレータを務めたのはゴーガの小山氏。パネラーは、モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーの大塚氏、位置ゲー「コロプラ」を開発したコロプラの馬場氏、プラットフォームの運営とアプリ開発を行うgumiの国光氏、アプリ開発のコンサルティングなどを行うドコモ・ドットコムの村上氏、位置ゲーのユーザーを代表してアジャイルメディア・ネットワークの徳力氏という5名。

「mixi」「GREE」「モバゲータウン」といった国内大手SNSのソーシャルプラットフォームが公開され、ソーシャルアプリが熱い視線を集めている今日、「位置ゲー」を始めとしたソーシャルジオメディアの関係者が何を考えているかが話し合われた。「ソーシャルプラットフォームの現状をどう見るか」という問いに対し、大塚氏はモバイルと位置情報の相性が良いことを述べ、今後も位置情報を使ったゲームには可能性があるとした。また、村上氏は小口現金の回収という携帯電話ならではのメリットを上手く活用してほしいと述べた。徳力氏は、日本ではプラットフォーム部分にまだ参入の余地があると指摘したうえで、位置情報を集めるにはエンターテイメント要素が必要とした。そのほか、ジオメディアの発展を推進するプラス要因、反対に阻害するマイナス要因などについてディスカッションが行われた。

第3部では一人5分の持ち時間でライトニングトークが行われ、はてなの位置情報 を使った新サービス「はてなココ」などが紹介された。