「ETロボコン2010」の開催概要が公開

去る2010年2月9日、「ETロボコン2010開催・記者発表会」が、東京で開催された。

ETロボコンは正式名称を「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト」と言い、組込みシステム技術協会(JASA)の主催で毎年開催されている。ETとはEmbeded Technologyの略で、組み込み分野における技術者育成を目的としたソフトウェア設計技術のコンテストだ。

 発表会の会場となった、福井県ビジネス支援センター「ふくい南青山291」多目的ホール

ETロボコンについては、2009年大会時に本部事務局に取材し、東京地区大会の様子などのレポートをお届けした。そちらもぜひご覧いただければと思うが、ロボコンと言っても、あくまでソフトウェア設計技術を競う大会というのがポイントだ。そのためハードウェアは同一規格で、レゴブロックによるロボットキット「教育用レゴ マインドストーム」で組み立てた走行体を使用。この走行体をUML(Unified Modeling Language)などで分析・設計したソフトウェアによる自律制御で走らせて競う。

 ETロボコン競技会の様子(写真提供:ETロボコン実行委員会)

審査も「ロボット走行システムのソフトウェア設計モデル評価」と「ロボット走行性能(タイムレース)」という2つの側面から行われるのが特徴だ。

参加資格は高校生以上で、各種専門学校、大学からの参加もあるが、多くは企業の若手ソフトウェア技術者。組込み分野はもちろんIT系企業からも多数のチームが参加している。

運営は、開発現場の経験者や各種教育機関など産学官の関係者が実行委員会のスタッフとなり、ボランティアベースで行われている。

記者発表会の様子

今回の記者発表会は2部構成で行われ、第1部ではETロボコンの概要を紹介し、2010年の競技とモデル審査それぞれについての方針、変更点などが説明された。

第1部はまずJASA副会長 兼 ET事業本部長の藤木優氏による主催者挨拶からスタート。「JASAは4月から25期目となるが、この"ETロボコン"と、毎年秋開催の"Embedded Technology"ショー、ETSS準拠の試験"ETEC"が3大事業。その中でもETロボコンが最も元気がよい事業として発展している。若手技術者の育成で、今後日本を背負っていく組み込み業を支えるベースになれば」と語り、未来を見据えたETロボコンの意義を強調した。

JASA副会長 兼 ET事業本部長の藤木優氏

続いて、「ETロボコン紹介と2010年の全体像」ということで、2009年大会の際にインタビューにもお答えいただいたETロボコン実行委員会 運営委員長の小林靖英氏が登場。「ロボットの性能・制御を競うのはもちろん、そのためのソフトウェアの中身(モデル=設計図)の良し悪しを競う。世界的に見てもユニークなソフトウェア分野の設計コンペティション」とETロボコンの特徴を強調し、産学官連携、全国各地区の協力により毎年開催、というそのアプローチを紹介した。

ETロボコン実行委員会 運営委員長の小林靖英氏

小林氏は続けてETロボコンの歴史と開催地区・参加者の拡大について説明。ETロボコンは2002年に「UMLロボットコンテスト」としてスタート(2005年に現在の名称へ変更)し、今年で9年目を迎える。2006年までは東京でのみの開催だったが、2007年に関東、東海、関西の3地区で地区大会を実施し、それぞれの代表がチャンピオンシップ大会へ進出する形に。その後は参加者が可能な限り地元で参加できるよう開催地区の拡大に努め、2009年には全国7地区(東北、北関東、東京、南関東、東海、関西、九州)で開催されるに至った。

ETロボコンは2006年から開催地区を増やし、2009年には7地区で開催された

開催地区が増えるのに伴い、参加者数も毎年右肩上がりで増加しており、2002年に20チーム(100名)、2006年に108チーム(550名)だったのが、2009年には354チーム(1,700名)が参加する大規模な大会へと成長した。

さらに2010年大会からは、北海道(北海道札幌市)、北陸(石川県金沢市)、沖縄(沖縄県那覇市)の3地区が新たに加わり、全国10地区での開催となった(小林氏個人としてはひそかに全47都道府県での開催を目指しているとか)。 景気低迷の余波を考慮しても全410チーム程度の参加を見込んでいるそうだ。

2010年は、北海道、北陸、沖縄の3地区が新たに加わり、全国10地区での開催に

参加者数の推移と2010年の予測