バックアップの重要性は、筆者が述べなくとも読者が一番ご存じだろう。例えば仕事を自宅に持ち帰り、徹夜で仕上げたプレゼンデータや、一週間丸々かけて書いた卒業論文、長年書きためてきた日記など、重要データの内容は人それぞれ。それでも渾身の力を込めて作ったデータは、何物にも代え難いはずだ。

そんな重大データが、何らかの理由で消失してしまうことを想像して欲しい。コンピュータにおけるデータ消失の原因としてあげられるのが、ユーザーが操作を誤る人為的ミスや、ストレージデバイスの物理的な破損によるハードウェア障害、もちろんウイルスやワームによってデータが破損する可能性もある。このように、コンピュータ上で管理するデータが消失する可能性は実に高い。だからこそユーザーは、いついかなる場合でも注意を怠ってはならないのだ。

そこで重要になるのが、定期的なバックアップ。"転ばぬ先の杖"ではないが、毎日バックアップを実行しておけば、何らかの理由でデータが消失しても、最悪一日の労働が消えただけで済むからだ。もし、一切バックアップを取っていなかったら、一日どころか、そのデータ作成に費やした時間や労力がすべて水泡に帰してしまう。そんな悲惨な目に遭う前に、常日頃からバックアップを行なって欲しい。

Windows 7時代のバックアップ

現在多くのユーザーが、Windows 7に移行しているか、もしくは近々移行しようと考えているだろう。一見するとバックアップとOSの種類は関係ないように思えるが、32/64ビット版の2バージョンを用意したWindows VistaやWindows 7の場合、大きく異なってくる。まずは図01をご覧頂きたい。この表はWindows 7のハードウェア要件だが、注目して欲しいのがHDD(ハードディスク)空き容量。32ビット版は16GBとなっているのに対して、64ビット版は20GBとなっている(図01)。

図01 Windows 7の最小ハードウェア要件

もう一つの相違点としてご覧頂きたいのが、Windows 7 Home Premium 32/64ビット版を導入した後に撮影したホストドライブのプロパティダイアログ。32ビット版は7GB程度使用しているが、64ビット版は9GBを超えており、同じOSながらも、32/64ビット版の差が生じていることに気づくだろう(図02)。

図02 Windows 7 Home Premium 32/64ビット版導入後のHDD使用量

ほぼ同一条件ながらも、64ビット版の方が使用量が大きい

この結果をご覧になれば、Windows 7 64ビット版ユーザーは32ビット版環境と比べ、必然的に使用するHDD容量が増大していることが理解できるはずだ。つまるところ、どのようなOSでもバックアップの重要性に変わりはないが、ファイルが多いということは、必然的に再インストールなどのリカバリー作業時間が増え、負担が大きくなる。互換性など様々な理由で使用するファイル数やディスク容量が増大化する64ビット版Windows 7は、バックアップの重要性が増すと言っても過言ではないのだ。

なお、このような差が生じるのは、32ビット用プログラムを格納する「Program Files (x86)」フォルダや、32ビットプログラムを実行するためのシステムファイルを格納する「SysWOW64」フォルダが64ビット版Windows 7にのみ存在するためである。