【ハウツー】

概説 Springプロダクト(2) - 柔軟な配備を可能にするSpring DM

2 SpringDMの役割

    土岐孝平  [2010/03/18]

    SpringDMの役割

    OSGiにおけるサービスの作成、レポジトリへの登録、サービスの取得は開発者がプログラミングする必要がある。また、依存先のBundleが更新された際の対応(サービスを再取得する等)もプログラミングする必要がある。

    SpringDMは、SpringFrameworkを利用する感覚でOSGiを利用することができるOSGiのラッパーのようなものである。Beanを宣言・DIする感覚でOSGiのサービスを登録・取得することができる(図2)。

    図2 : SpringDMとOSGi

    SpringDMを使って作成するBundleには大きく以下の3つが必要である

    1. クラスファイル
    2. Bean定義ファイル
    3. マニフェストファイル

    1.は、通常のクラスやインタフェースなので特に説明は必要ないだろう。2.のBean定義ファイルには、Beanの定義に加えてOSGiのサービスの定義を記述する。例えば、hello-dm-service Bundleとhello-dm-web Bundleがあるとしよう(図3)。

    図3 : hello-dm-serviceとhello-dm-web

    プレゼン層のhello-dm-web Bundleは、サービス層のhello-dm-serviceが用意するサービスを利用する。

    以下に、hello-dm-service BundleのBean定義ファイル (抜粋)を示す。

    ソースコード1 : hello-dm-service BundleのBean定義ファイル(抜粋)

    (2)で宣言したBeanをOSGiのサービスとして(1)で登録している。

    以下に、hello-dm-web BundleのBean定義ファイル(抜粋)を示す。

    ソースコード2 : hello-dm-web BundleのBean定義ファイル(抜粋)

    hello-dm-service Bundleで登録したサービスを取得している。取得したサービスはhello-dm-web内のBeanにDIすることができる。

    3.のマニフェストファイルには、Bundleのバージョン、シンボル名(ID)、公開するパッケージ、使用する他のBundleのパッケージなどを記述する。以下に、hello-dm-service Bundleのマニフェストファイルを示す(各項目の説明はOSGi Service Platform Core Specification※5の 3.2.1 Bundle Manifest Headers を参照願う)。

    ※5 http://www.osgi.org/Release4/Downloadからダウンロードできる。

    ソースコード3 : hello-dm-service Bundleのマニフェストファイル

    (1)により、hellodm.serviceパッケージを公開していることが分かる。

    以下に、hello-dm-service Bundleのマニフェストファイルの抜粋を示す。

    ソースコード4 : hello-dm-service Bundleのマニフェストファイル(抜粋)

    (1)により、hellodm.serviceパッケージを使用していることが分かる。

    サンプルコードの紹介

    技術を習得するには実際に使ってみるのが手っ取り早い。環境の構築手順を説明するので、興味のある読者は是非環境を作ってほしい。サンプル自体の解説は割愛させていただくが、読者自身でソースコードを解読してほしい。

    環境の構築

     1. SpringDMのサイトからspring-osgi-1.2.1-with-dependencies.zipをダウンロードして解凍する。以後、作成されたフォルダを"SpringDMインストールフォルダ"と呼ぶ。

     2. 筆者が作成したファイルをダウンロードして(こちらをクリック)解凍する。フォルダ内のappとlibフォルダを"SpringDMインストールフォルダ"内にコピーする(libフォルダは上書きコピー)。

     3. "SpringDMインストールフォルダ"内のlibフォルダに移動し、以下のコマンドを実行する。

    java -jar org.eclipse.osgi-3.2.2.jar -console
    

     上記コマンドにより、OSGiの実装であるequinoxが起動する。equinoxの操作についてはhttp://eclipse.org/equinox/documents/quickstart.phpを参照願う。

     4. http://localhost:8080/hellodm/sayHelloにアクセスして以下の画面が表示されれば完了。

    図4 : sayHelloの画面

    サンプルソースのコンパイル

     1. eclipseのJavaEE版をインストールする。

     2.サンプルのソースをダウンロードして(こちらをクリック)ファイルを解凍する。

     3.eclipseプロジェクトのフォルダが2つ作成されるので、既存のプロジェクトとしてインポートする。

     4.クラスパス変数として、"SpringDM_INST"を作成し"SpringDMインストールフォルダ"を指定する。

    問題が無ければコンパイルが成功するはずである。プロジェクト配下のbuild.xmlをantで実行すればBundle(jarファイル・warファイル)が作成れる。Bundleのインストールや更新はequinoxのWebサイトを参照願う。

    *  *  *

    最近、Javaにおける動的なモジュールへの関心が高まっている。主要なアプリケーションサーバ製品がOSGiに対応し始めているほか※6、JDK7で導入予定のJSR291やJigsawシステムなどOSGi以外の動きがある。本稿で、SpringDMを始めとした動的なモジュールへの関心を持って頂けたら幸いである。

    ※6 話題性の高いものの1つにSpringSourceが提供するdm Serverがある。

    執筆者紹介

    土岐孝平(TOKI Kouhei) - 現場指向


    JavaEEを使用したエンタープライズ・システムの設計を得意とし、技術コンサルティングや教育講師に従事する。最近では、日本Springユーザ会やOracle WeblogicServer勉強会などの講師としても活躍する傍ら、雑誌記事も多数執筆する。

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