2009年4月よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送され、高い人気を誇ったTVアニメ『東のエデン』。ノイタミナ初の完全オリジナル企画として話題を呼び、さらにTVシリーズ11話が完結した後には、その先の物語を描く劇場版作品が公開されるということで、大きな注目を集めた。

神山健治監督

そして2009年11月、劇場版第一弾となる『東のエデン 劇場版I The King of Eden』が公開。そして劇場版第二弾にして、シリーズ完結編となる『東のエデン 劇場版II Paradise Lost』がついに2010年3月13日(土)に公開初日を迎える。テレビ放送の開始からおよそ1年。羽海野チカ氏によるキャラクター原案、川井憲次氏による音楽、さらには「ノブレス携帯」や「東のエデンシステム」……。さまざまな話題を生み出した超大作は、はたしてどのような結末を迎えるのか? そこで今回は、待望の公開日を迎える本作の原作・監督・脚本を務めた神山健治氏に、劇場版第二弾のポイントとともに、『東のエデン』とともに過ごしたこの一年間を振り返ってもらった。

神山健治氏が語る『東のエデン』

――ついに『東のエデン 劇場版II』が公開日を迎えます。テレビ版の放送開始が2009年4月なので、ちょうど1年という感じですが、監督にとってどういった1年でしたか?

神山健治監督「とにかく、ひたすら忙しかったという感じですね。『東のエデン』以外のことはまったく考える余地がないくらい、エデン一色の一年でした」

――『東のエデン』という作品は、"ノイタミナ"初の完全オリジナル企画という位置付けですが、すべてオリジナルストーリーでいくという話は最初から決まっていたのですか?

神山監督「今回の企画は初めからそうでしたね。初の完全オリジナルをやってみようじゃないか、ということでお話をいただきました」

――最初の企画段階から劇場版での公開という話もあったのですか?

神山監督「これはちょっと経緯が複雑でして、完全オリジナルだとやはり作品が認知されるのに時間がかかるので、"ノイタミナ"は基本的に1クールなんですけど、『東のエデン』については2クールで企画を立てたんですよ。オリジナルストーリーになると、どうしても説明しなければならない部分が増えてきますから。とはいえ、当たるかどうかもわからないオリジナル作品を2クールというのは、ちょっと難しいのではないかというのもありまして、とりあえず1クールやって、評判が良ければ2クールという話になってしまったんですね。そうなると、構想のすべてを描き切ることができないので、2クール目のストーリーをどうしようかという話になりまして……」

――そこで劇場版ということですね

神山監督「どうせやるなら、面白いことがしたかったんです。なので、新しい試みとして、映画にしようと。とはいえ、1クール分のストーリーというのは、2時間でもちょっと足りないんですね。それなら、映画を2つに割って、二部作の映画にすればどうだろうという話に最終的には落ち着きました。テレビ放送が始まるころには、この方向で進んでいたと思います」

――ということは、劇場版についてはストーリーも含めて、最初から想定されていたものだったわけですね

神山監督「そうですね。中身に関してはだいたいその通りです。ただ、試みとしては、相当アクロバティックな企画になるだろうということは想像していたのですが、やってみたら想像以上でしたね(笑)」

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