【レポート】
既報の通り、米Appleが台湾のHTCを20件の特許侵害でデラウェア州米連邦地区裁判所に提訴した。その内容を確認すると「なぜHTCなのか?」という疑問が持ち上がる。こうした声に対して、All Things DigitalのJohn Paczkowski氏など複数のアナリストや専門家が、訴訟の本当の狙いはHTCではなく、ライバルのスマートフォン・ベンダー全体への牽制であると指摘している。
まずAppleが侵害を主張している特許を見ていこう。4件はタッチ・ユーザーインタフェース(UI)に関する特許だ。
さらにハードウェア構造に関する特許が4件。
残りは、「6,343,263 : データストリーミング向けリアルタイム信号処理システム」「5,929,852 : ネットワーク構成要素の格納」などネットワーキングシステム関連が3件、AppleとIBMの合弁事業Taligentの「5,519,867 : オブジェクト指向型マルチタスク・システム」を含むオブジェクト指向プログラミング関連が4件など、より基本技術に近い特許だ。中でも注目されているのが、NeXT Computerが保有する「5,481,721」である。Inter-Application Communication(IAC)に関する特許で、AndroidのDalvik仮想マシンによる侵害の可能性が議論になっている。
Appleがこれらの特許の侵害を主張するならば、Androidを採用するHTC以外のベンダーや他のモバイルプラットフォーム・ベンダーも対象になるように思える。例えばタッチUIに関してはPalm Preが登場した時、すぐにAppleの特許を侵害している可能性が指摘された。
なぜこのタイミングで、訴訟対象がHTCなのか?
まず考えられるのは、急速に広がっているAndroid採用ベンダー対策だ。開発から製品の市場投入を短縮できるのがAndroidを採用する大きなメリットの1つであり、実際にその効果が昨年後半から見え始めている。しかし、Androidを土台にしても最終製品が他社の特許を侵害しないとは限らない。従来同様の知的財産に対する慎重な対応が必要であり、その手間・時間は省けない。Androidを採用するベンダーが急増し始めたタイミングを見計らって、Appleは自身が保有する特許の存在を再認識させる具体的な行動に出たと考えられる。
その中でHTCがターゲットになった理由については、同社がAndroidだけではなく、Windows Mobileを含む幅広いモバイルプラットフォームを採用している点が指摘されている。HTCをターゲットにすれば、1度の訴訟でスマートフォン産業全体に警告を発せられるという理由だ。
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