興味深いのは、これら大手ネットワークはCATVなどへの有料配信を通してユーザーからすでに視聴料を得ているにも関わらず、一方ではHuluなどのストリーミングサイトを介して無料で同じコンテンツを配信している。無料配信を実現しているのは広告収入によるものだ。iTunesはこうした広告なしに有料でエピソードをバラ売りするもので、新たな収入源として期待されている。だが、Deutsche Bank SecuritiesのアナリストDoug Mitchelson氏によれば、iTunesによる配信は依然としてニッチな存在であり、DVDセールスを補完するものと表現している。

また、99セントへの値下げ以外のオプションも検討されているようだ。NYTによれば、Appleは人気TVショーのサブスクリプションパッケージを用意し、月額30ドルでの配信を提案しているという。しかし、サブスクリプションはTVネットワークの既存ビジネスに直接的影響を及ぼす可能性があるため、一部ネットワークは及び腰になっているといわれる。一方でiTunes plusのときと同じ議論で、99セントという一律価格に対する不満も依然としてあり、より自由な価格設定を求める声もある。あるTVネットワーク幹部の1人は、次のような例えを出している。

「もしWal-Mart(ウォルマート)内にある適当な5品の価格を5セントに設定してみたら、それらは飛ぶように売れることは間違いない。なぜなら値段が傑出しているからだ。一方で、店にあるすべての商品を5セントにしてみよう。すると、とたんに値段が意味をなさなくなる。本質的に、ここでやっていることはすべての"コンテンツ"の価値を下げていることにしかならない」。