【インタビュー】
前回ご紹介したヘリオス社の「Sグレード グルス」「Mグレード リンクス」「Lグレード ドラゴ」の3つは、日経225mini、TOPIX先物のトレードシステムで、日経225先物の運用も可能になっている。開発したヘリオス代表取締役の長谷川博也氏は、「システムトレードで利益を出すには、経験を積んできた人間の判断こそが重要」という考え方をもっている。ヘリオスの3つのトレードシステムには、この「人間の判断」アルゴリズムが組み込まれているという。具体的にはどういうことだろうか。今回はこの3つのトレードシステムの内容を見ていこう。
「日経225やTOPIX先物では、大口投資家のポジションがはかりしれないほど大きいんです。いわゆる海外投資家です。彼らが相場を作っているのですから、大口投資家がなにを考えているかということは無視できません」。
個人投資家というのは、日経225先物では2枚、3枚という投資規模だが、大口投資家というのは何千枚と投資してくる。彼らの心理的なぶつかり合いで相場ができていて、個人投資家の資金が大口投資家に吸い上げられていくという状況は10年前から変わっていないという。つまり、先物市場で利益をあげるには、まず大口投資家がどのような判断で動いているのかを知り、それに乗っていく、あるいは裏を取っていくというということが必要になるという。
では、大口投資家はどうような発想で動くのだろうか。「大口投資家はファンダメンタル指標を重視しません。判断のきっかけにはなるかもしれませんが、実際はチャートを見てほとんどすべてを判断しています」。なぜなら、チャートには今現在起きている心理のぶつかり合いのすべての結果が表されているからだ。「ファンダメンタルは過去の結果を表しているだけなので、明日、あさっての相場がどうなるかという今を知るには、チャートが重要なんです」。
ということは、ヘリオスのトレードシステムは、いわゆるテクニカル分析を組み込んだものなのだろうか。
「違います。テクニカル分析ではなく、より高度なパターン分析と呼んだ方が適切かもしれません」。少し難しい言い回しだが、こういうことだ。例えば、ある基準線をチャート上に設けて、その基準線を抜いたら「買い」というテクニカル手法があったとしよう。従来のシステムトレードでは、この指標をプログラミングして、過去のデータをあてはめて検証してみる。そして、利益が出るようなら「この手法は使える」として採用する。
「しかし、基準線を抜くにも、抜き方がいろいろあります。下から一直線にあげてきて勢いよく抜いたのか、それとも基準戦線後でもみ合いながら抜いたのか。どのようなパターンの時が買いで、どのようなパターンのときは動いてはいけないのか、これは市場の経験を積んできたきた人しか判断できません。大口投資家は、それをやっているのです」。
この辺り、用語が少し混乱するかもしれない。テクニカル分析というのはチャートにさまざまな補助線を引いて、それをシグナルとして、売り買いを判断することだ。ヘリオスのトレードシステムは、この既存のテクニカル分析を単純に組み込んでいるわけではない。どのようなパターンのときにはシグナルとして利用できるのかを考慮している。これを長谷川氏は「既存のテクニカル指標は使っていない」と表現するが、いっそのこと「テクニカル分析ではなく、パターン分析を使っている」と言い方の方が、理解しやすいかもしれない。そして、そのパターン分析の指標は、大口投資家の判断手法を大いに取り入れている。もっとわかりやすく言うと、ヘリオスのトレードシステムは「大口投資家シミュレーター」なのだ。
では、「Sグルス」「Mリンクス」「Lドラゴ」の3つはどこが違うのだろうか。「簡単にいうと『L』がいちばん慎重派です。Lは日経225の個別銘柄の買いと売りの圧力差を見ることが中心になっています。大口投資家が判断をする基本的な方法です。『M』はちょっと企業秘密なんですけど、弊社の独自の売り買い圧力差の独自指標とチャートパターンを組み合わせています。敏感に動くシステムです。『S』はチャートパターンと1週間の値幅を見ています」。
詳しくはどうしても企業秘との絡みがあるので、詳細にご紹介できないのが残念だが、いずれも裁量トレーダーの考え方を取り入れたもので、着目する点がそれぞれに異なっている。トレードシステムというよりも、3人の裁量トレーダーに投資するという感覚だ。
「仮に300万円の資金があったら、それぞれに100万円ずつ均等に投資して、半年ぐらいは資金を動かさずに、ポートフォリオを組んでいただきたい」。3つの考え方の異なるシステムに均等投資することで、ごく簡単なポートフォリオが組めるわけだ。そして、利益を出している方に資金を動かしてしまうのではなく、半年間ぐらいは資金を固定して、動きを注視してほしいという。
ヘリオスでは、1月末に新たなトレードシステム「ユリウス」をリリース。このシステムには付録に3本のオープンソースのトレードシステムがついてくる。アルゴリズムの中身もわかるようになっており、一部分をコピーして、自分で作ったプログラムに組み込むことも可能だ。
「中身がわかっていないと、システムトレードをしていても不安になりますし、勉強にもなりません。ポートフォリオを組んで、利益を得ながら、投資に必要なスキル、感覚を身につけていってほしいと思っています」。
長谷川氏がなぜ海外投資家を重要視するかというと、大口投資家が相場を作っているということもあるが、海外では投資で自分の年金を構築していくなど、投資に関する意識が日本よりも何年も進んでいるからだ。日本では投資はまだまだギャンブルや博打のにおいがするものと誤解されているところがある。
「投資はきちんと勉強すれば着実に利益がでるようになります。今、日本人は勉強の時期なんだと思います。基礎を学んで、1万時間相場に向き合えば、資産形成するトレーダーにはだれでもなれます」。
当たり前の話だが、どこの世界にも「楽をして金儲けができる話」などは存在しない。だからこそ、システムトレードはギャンブルではなく投資なのだ。
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