米Oracleは1月27日(米国時間)、本社でカンファレンスを行い、2009年4月に発表した米Sun Microsystemsの買収完了とともに、Oracle + Sunとしての今後の戦略について最新情報を発表した。Sunの既存製品や技術はほぼ継続で、オーバーラップの多いミドルウェアなどは基本的に継続しつつ、ゆるやかに統合していくという方向性をとるようだ。

この日は社長のCharles Phillips氏が最初に登壇し、続いて、ハードウェア、ソフトウェア、OS/仮想化、顧客サービス/サポートの4つについて、幹部が説明を行った。最後に、CEO兼会長のLarry Ellicon氏が総括し、会場からの質問に答えるという形式で行われた。

Oracle CEOのLarry Ellison氏

Charles Phillips氏

9カ月がかりでようやくSunを手に入れたOracleが目指すところは"包括的なシステムベンダ"だ。これをEllison氏は、「2010年のOracleのビジョンは、IBMが1960年代に描いたビジョンと同じだ - 包括的で統合された技術スイートを提供する」と述べる。そして、シリコンからアプリケーションまでの垂直統合は、性能、信頼性、管理、コストなど顧客に大きな価値を与えると続ける。

その例として、カンファレンス中何度も引用されたのがOracleが2009年9月に発表した"Oracleデータベースマシン"こと「Exadata Version 2」だ。Ellison氏は背景として、データベース性能強化にあたって、ソフトウェア側からの開発は限界地点に達しており、ハードウェアを獲得することで性能をはじめ、さまざまな問題を解決できるという認識に至ったと説明している。Ellison氏は、今後1年以内に新たな統合製品を発表すると述べている。

Sun買収の成果の1例として紹介された「Exadata v2」

統合システムの設計と同時に、個々のコンポーネントレベルでの技術改善も継続する。以降、ハードウェア、ソフトウェア、OS/仮想化の3つの技術分野の担当者の発表をまとめたい。

John Fowler氏

ハードウェア戦略を語ったのは元SunのJohn Fowler氏だ。Fowler氏はアーキテクチャ企業としてのSunのDNAが今後、Oracleの開発力と合体することで、「ハードウェアを次のレベルに持ち上げる」と語る。ターゲットはエンタープライズ。具体的には、アプリケーションの性能でリーダーシップをとるという。

それにあたり、SPARCおよびSolarisは今後も継続し、改善を続ける。Solarisでは、DTrace、ZFS、安全性、拡張性、仮想化の統合、自己修復などの面で強化する。SPARCでは、コア数を倍増しキャッシュを強化した「UltraSparc T3」を2010年後半に発表するほか、数種類の計画があるようだ。これら全部でバイナリ互換性を確保するという。また、富士通と共同設計した「SPARC64」もロードマップを加速するとした。

SPARCチップのロードマップ

富士通と共同開発したSPARC64のロードアップ

ストレージでは、「7000 ZFS Storage Appliance」「StorageTek」への投資、ストレージにおけるフラッシュメモリの技術革新などを挙げた。

ハードウェアではまた、これまでBTS(Build to Stock)からBTO(Build to Order)モデルへの移行、製品数の削減、サプライチェーンの中央化など、主としてコスト対策のための方針転換も発表した。また、直販モデルの導入も発表、大手顧客とは直販を通じて戦略的関係を構築するとした。これにあたり営業部門を強化し約2,000人規模で新規雇用を進めるとした。