ハウスメーカー各社が、インターネットを使った住宅販売に力を入れている。総合展示場維持費や人件費など営業コストを大幅カットできることから、高品質ながら低価格を実現。20・30代の若い夫婦層を中心に需要が拡大している。

現在、ネット住宅を展開しているハウスメーカーはエス・バイ・エル / ミサワホーム / 三井ホーム / パナホーム。大和ハウス工業も今年度中に参入する見込みだ。

エス・バイ・エルでは、2008年までに販売棟数が2,200棟を超え、「不況の影響を大きく 受けることなく一定の販売戸数を維持している」(同社広報)。ミサワホームは昨年7月、販売用サイトを開設し、サイト利用数は月約1万5,000件に上る。

ネット住宅が人気の理由はいくつかあるが、営業コストのカットにより、住宅が安く購入することができることが大きい。たとえば、エス・バイ・エルが昨年販売を開始した「Linc(リンク)」(本体価格(税抜き)978万円(28.5坪)~1,076.8万円(30.05坪)は、通常で購入した場合と比べて「一概には言えないが、およそ300~350万円ほど安く購入できる」(同)。

エス・バイ・エルが昨年販売を開始した「Linc(リンク)」

展示場維持費や顧客先を訪問する営業マンの人件費のカット、契約との同時発注で顧客からダイレクトに発注データを作成することによる人的関与の省力化及び業務プロセスの簡素化により、コストカットが実現した。

また、営業マンの訪問を待つことなく、見積もりなどメールや電話で問い合わせることが可能なため、自分のペースでマイホーム購入でき、20・30代の若い夫婦層を中心に人気が集まっているという。同社の価格帯は本体価格(税抜き)887.6万円~1,950.2万円。18.43坪~58.61坪で二階建て、平屋建てをラインナップしており、「同社の人気の間取りばかりを用意しているので、何か気に入る商品が見つかるはず」としている。

エス・バイ・エルのネットで購入可能な「平屋建て」

こうした人気を受け、エス・バイ・エルは昨秋、専用サイトを一新。全557プラン(規格型住宅) の間取り図が閲覧できるほか、WEB上で外壁、内装カラーなどを自由に組み合わせたり、3Dで住宅のシミュレーションを見たり、見積もりをとったりと、購入するまでにマイホームのイメージが固められるような配慮がなされている。また、WEB上で見積もりを取ることができるため、価格も明確化されており「出来上がりのイメージが異なることがなく 、満足度が高い」(同)。

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外観3Dシミュレーション

同社では、展示場の代わりにネット住宅購入者宅の見学会など実施しており、こうしたリアル体験の場もさらに充実させていく予定。

ネット住宅が、低迷する住宅販売の活路となるのか。今後も動向が気になるところだ。