BingがiPhoneのデフォルト検索エンジンになることのMicrosoftにとってのメリットは単純なシェア拡大や名声だけでなく、モバイル市場攻略のための糸口を得ることにある。Googleが2009年11月に買収したモバイル広告大手の米AdMobによれば、現在のモバイル広告のほとんどはiPhoneまたはiPod touch経由で見られている状態で、iPhone/iPod touchでの露出が増えることは広告利益に直結する。実際、Googleはモバイル広告での利益の多くをこの仕組みから得ているわけで、デフォルト検索エンジンがBingにスイッチすることで、この膨大な利益がMicrosoftの下へと転がり込んでくることになる。AppleとGoogleはこの契約でどの程度の金額が両社の間で動いているかを公表していないが、Microsoftが仮に契約を獲得した場合、Google以上の金額の支払いやマージン比率の引き上げに応じることになると分析できる。

未来はアウトソースしない

とはいえ、AppleとMicrosoftの間で提携が行われたとしても、それは短命に終わる可能性が高いというのがBusinessWeekの見方だ。Appleはすでに自社の検索サービス展開に向けた極秘プロジェクトを進行中で、時間稼ぎにしかならない可能性があるというのだ。実際、モバイル広告で鍵となる米Quattro Wirelessの買収や地図サービスの米PlaceBaseの買収など、AppleはGoogleに依存していたサービス群を着実に自分のものとしつつある。「自身の未来はアウトソースしない」 - これがApple流の考え方なのだろう。