東芝は、プレイステーション3のプロセッサとして知られるCELLを搭載する液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」を2009年12月に日本で発売しているが、今後米国市場へも「CELL TV」の名称で複数機種を投入する予定。2010 International CESの東芝ブースでは、CELLの搭載によって可能となるさまざまな高画質化技術・3D技術が紹介された。

「CELL TV」関連の展示で占められる東芝ブース

米国市場向けに用意される65インチCELL TV

日本で発売されたCELLレグザ 55X1は現行レグザシリーズの最上位モデルで、画面サイズは55インチだが、今回CESで展示された米国市場向けの試作機はそれを上回る65インチモデルだった。現状の55X1では対応していない3D表示を当初からサポートして発売される予定。

3D関連では、CELLの処理能力を利用して既存の2Dコンテンツから奥行き成分を演算によってはじき出し、3Dコンテンツに変換する技術や、リモコンを使わなくてもユーザーの手の動きでテレビやレコーダーの操作が行える立体ユーザーインタフェースなどが紹介された。

CELLのパワーで2Dの映像を3Dに変換する技術。動画だけでなく静止画にも対応するという

リモコンを使わなくても手の動きでメニュー操作や再生位置のシークなどが行える立体ユーザーインタフェース。センサーとユーザーの距離などに応じて感度は調整可能

CELLの能力の応用例としてしばしば紹介される「超解像」技術では、フルHD(1,920×1,080ピクセル)の映像ソースを4倍の画素数に変換し、4K2K(3,840×2,160ピクセル)のパネルに表示するデモや、Webページやネット配信動画などの低解像度ソースをフルHDパネルに表示するデモを披露。映像ソースより解像度の高いパネルに表示する際に、エッジ部のにじみを抑えて従来よりもシャープネスを高められることが紹介された。

ネット配信される低解像度の動画をフルHDにする際に超解像技術を用いたのが右半分に表示されている画面。奥の高層ビルの窓などを見ると、従来の拡大表示(左半分)に比べ精細感が高いのがわかる

また、CELLレグザに搭載される「メガLEDパネル」は、バックライトにLEDアレイを採用し、512区画に分けたLEDの明るさを個別に制御することでコントラストを高める仕組みを備えているが、LEDの明るさが変化する様子がわかるようにパネルの一部の層を取り除いたモデルが展示された。

「メガLEDパネル」に搭載されているLEDバックライトの動作デモ。このパネルは海外では「KIRA2」の名称で呼ぶとしている

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そのほか、レグザ・Windows 7搭載PC・Windows Mobile搭載スマートフォン・ネットワークHDD等を無線LANで接続し、PCやモバイル機器などに保存されている動画や画像を簡単な操作でレグザに表示するシステムのデモなども行われた。

PCやモバイル機器を操作すると、レグザのリモコンに触れなくてもコンテンツの再生が行える