OS基本性能から、仮想化環境まで、多岐にわたり機能改善が行われている「Windows Server 2008 R2」。すでにリリースから3カ月以上が経過しており、簡単な紹介記事も数多く出回っているが、同サーバーが本当に使えるものなのか確信が持てずに周囲の反 応を見守っているシステム管理者は多いはずだ。そこで、本誌はWindows Server 2008 R2の導入を5人のライターに依頼。その模様を体験記というかたちでレポートしてもらうことにした。

今回、導入/執筆を担当するのは.NETプログラミングなどの分野で活躍するテクニカルライターの漆尾貴義氏。お題は「IIS(Internet Information Services) 7.5」をお願いした。

IIS 7.5の数ある強化ポイントの中でも目を引くのがPowerShellによる管理が行いやすくなった点だ。PowerShellへの対応はWindows Server 2008 R2に組み込まれているさまざまな管理ツールで実施されているが、特に利用される機会が多そうなのが開発者も触れるIISと言えるだろう。今回、漆尾氏にはPowerShellを中心にIIS 7.5に触れてもらった。独自のタスク処理をわずか数行のコーディングで設定できる、その威力をご確認いただきたい。

OSインストールからIISのセットアップまで

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漆尾
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本企画ではWindows Server 2008 R2で搭載されたマイクロソフト製Webサーバーの新版「IIS 7.5」の新機能や使い心地を実際に導入しながら紹介していく。開発者にとっても身近な存在であるIISが今回のバージョンアップでどのような進化を遂げたのか。そのあたりを簡単に覗いていきたい。

それでは早速、Windows Server 2008 R2のインストールとIISのセットアップから始めよう。

インストールには、Windows Server 2008 R2のDVDを使用した。今回はIIS 7.5 の機能を試すのが目的なので、まずWebブラウザ上から、IISでホスティングされているWebページを確認するというところを目指してみることにする。

「サーバーOSのセットアップ」というと非常に面倒なイメージがあるが、Windows Server 2008 R2ではセットアップ画面のウィザードに沿って、OSの種類やインストールする場所などの数項目をマウスで指定していくだけである(画面1)。設定が終わるとファイルのコピーが開始され、そのまま待っていると20分程度で完了してしまった(画面2)。Windows 7と同じく、セットアップ手順は非常に簡略化されていると感じた 。

画面1: Windows Server 2008 R2のセットアップ画面

画面2:インストール処理の実行画面。作業は20分程度で完了

インストール完了後、さっそく管理者としてログオンすると、まず「初期構成タスク」ダイアログが表示された)。インストールしたばかりの状態では、ほとんどのサーバー機能が無効化されているので、「初期構成タスク」ダイアログから「役割の追加」や「機能の追加」をクリックして、使いたい機能を有効化していくことになる。今回試したいのはIISなので、まず「役割の追加」をクリックした(画面3)。

画面3: 役割の追加ウィザード

「役割の追加ウィザード」では、「DNSサーバー」や「ファイルサービス」といった役割一覧が表示され、その中から追加したい役割を選択すると、必要なコンポーネントが自動的に有効化されるという仕組みになっている。

ここで「Webサーバー(IIS)」を選択すると、「役割サービスの選択」が表示され、IISの各機能の中から、どれを有効化するかを選択できる(画面4)。まずは静的なファイルをホスティングするだけのWebサーバーとして使用してみたいので、既定のままで次へ進むことにした(画面5)。しばらく待つと、インストールの結果が表示された(画面6) 。

画面4: 追加したい"役割"を選択

画面5: 既定値のままインストール作業へ

画面6: インストールの結果

IISのインストールが完了後、Webブラウザを起動して「http://localhost」にアクセスすると、IISのデフォルトページが表示された(画面7)。OSのインストールからWebサーバーのセットアップまで、ウィザードに従っていくだけで完了できたわけである。ここまでに要した時間はせいぜい30分ほどであった。

画面7: IIS 7のデフォルトページ

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ちなみに、現在有効化されている機能については、「サーバーマネージャー」ダイアログから一覧できる。後から他の機能を有効化したい場合には、このダイアログから「役割サービスの追加」をクリックすればよい(画面8)。

画面8: サーバーマネージャーで有効化されている機能を確認できる