米Appleが新たに申請した特許3件が一般公開され話題になっている。1つは3Dインタフェースに関するもので、画面内に仮想の3D空間を構成し、ユーザーの頭の動きに合わせて表示がダイナミックに変化するものだ。たとえば画面内のオブジェクトをユーザーが上から覗き込もうとすると、そのように画面が動いてオブジェクトの上辺が見られるといった具合だ。このほか、メディアファイル再生に関する特許が1件、バッテリ駆動時間を延ばす特許が1件、それぞれ報告されている。

Appleの3件の特許については、Ars Technicaがまとめた記事が詳しく、わかりやすい。「SYSTEMS AND METHODS FOR ADJUSTING A DISPLAY BASED ON THE USER'S POSITION」と呼ばれる特許は、仮想3D画面と頭の動きを連動させた新インタフェースに関するものだ。たとえば画面ディスプレイ内に描かれた3Dオブジェクトはあくまで2Dで表示されているもので、ユーザーがその側面を覗き込もうと頭を動かしても画面上のオブジェクトが変化するわけではない。だが頭の動きに合わせて画面がダイナミックに変化するようになれば、ユーザーが右側に頭を動かすことで、オブジェクトが回転して右側面を見ることができるようになる。これをPCなどのウィンドウ画面に応用すると、頭を動かすことで重なり合うウィンドウ同士の位置関係がダイナミックに変化し、正面からでは手前のウィンドウに隠れて見えなかった奥側ウィンドウの情報が見られるようになる。

言葉で説明するとわかりずらいが、前述のArs Technicaの記事にある図を参照するほか、実際にビデオ映像で確認してみるといいだろう。Apple Insiderが例として紹介しているYouTube上のビデオは、Wiiが発売された際、ある開発者がWiiリモコンとレシーバーを使って同種の3Dインタフェースを実現して話題になったものだ。

2つめの特許はユーザーの過去のメディアファイル再生パターンを記録し、それを以後の再生で自動再現する特許だ。「System and methods for adjusting graphical representations of media files based on previous usage」の名称で申請が行われている。たとえばユーザーがiPodなどで音楽データを再生する場合、特定の曲で冒頭の22秒間だけスキップする動作を繰り返したとする。こうした行動パターンをメタデータとして記録し、以後の再生でこの22秒間スキップを自動的に再現するというものだ。またメタデータの内容はインタフェースにも反映され、頻繁にスキップされる、あるいは全然再生が行われない楽曲については曲目表示でフォントの縮小または薄い字で表現され、逆に頻繁に再生される曲は大きなフォントと太字で強調されるといった具合にメリハリをつける。

最後の3つめはバッテリ駆動時間に関するものだ。「METHOD AND APPARATUS FOR PROLONGING BATTERY LIFE OF A MEDIA PLAYER」の名称で申請された特許では、残りのバッテリ駆動時間に合わせてメディアファイルの再生方法を変化させ、指定された作業を駆動時間内に完了させようとする。たとえば45分の動画ファイルがあり、現在手持ちの携帯デバイスでは30分の動画を再生するバッテリ容量しか残っていないとしよう。この場合、デバイスはユーザーに対して警告メッセージを表示し、ユーザーの45分動画再生の指示を完了させるためにバックライトの輝度を落としたり、動画再生のフレームレートを落としたりなど、バッテリ駆動時間を延ばすことで対応する。

以上3点が今回話題になった申請中の新特許だ。1つがインタフェースに関するもの、残り2つが主に携帯デバイスを主眼に置いたものだが、近い将来に実機に搭載される新機能として想像してみると面白そうだ。