2世帯滞在用のコネクティングルーム

客室は洋室162室、和室58室のほか、露天風呂付客室も23室ある。もちろん、こちらの露天風呂にも源泉が提供されている。スタンダードタイプの客室は22.4m2。緻密なマーケティングから設定された広さだという。広すぎず狭すぎず、自宅にいるような居心地のよさが感じられる空間は、あくまでシンプルなデザインで統一されている。

洋室は、ユニットバス付、シャワー・トイレ・洗面付など、いくつかのタイプにわかれている

全243室のうち、58組116室はコネクティングルームとなっているのも、天成園の特徴といえるだろう。これは2つの部屋がドアでつながったもの。スイートルームというよりも、単純にふたつの隣り合った部屋が行き来できる構造だ。

部屋同様、廊下も落ち着いた雰囲気が漂う。足元には、さりげなく優美な壷が置かれていた

例えば、子ども連れの夫婦が両親と宿泊した場合、両親は先に寝るということもあるだろうし、それぞれ観たいテレビ番組が違うということもあるかもしれない。そんなときは、別々の部屋で過ごすことができる。しかし、廊下に出る必要はなく、隣どおしドアで行き来できるから、一緒に過ごしている実感は失われることがない。いわば、2世帯住宅のような発想といえるだろう。

庭園には縁結びの神様も

与謝野晶子や俳人の萩原井泉水などに愛された玉簾の瀧。自然とこころが落ち着いてくる

玉簾の瀧と並ぶように流れ落ちている飛烟の瀧。その横には玉簾の湧き水もあり、碑が立っている

瀧のそばにある石段を上がっていくと、玉簾神社が姿を現す

建物裏手には、玉簾(たまだれ)の瀧や飛烟(ひえん)の瀧などがあるので散策も忘れないようにしたい。「山荘へ 玉簾の瀧流れ入り 客房の灯を もてあそぶかな」。与謝野晶子はそううたっている。岩盤から湧き出した水を、昔の人は玉すだれにたとえて瀧の名前としたという。かつて、難路であった箱根路を行く人々は、この水で喉をうるおしたと伝えられる。

玉簾の瀧の上には、今ではパワースポットとして知られる箱根神社の御分霊をいただいた邸内社・玉簾神社が座している。江戸時代から縁結びや無病息災、商売繁盛、諸願成就、水の守り神として信仰を集めてきた。ちなみに、2010年1月31日までの天成園宿泊を予約すると、玉簾神社の縁結びお守りがもらえるという。

ゆっくりと散策したい庭園。夜は瀧がライトアップされ、また違った雰囲気となる。茶室でくつろぐこともできる

見逃せない「清水アキラショー」

四季折々の料理も大きな楽しみのひとつだ。海の幸、山の幸を贅沢に使い、箱根をイメージして生み出される旬のメニューは、温泉とともに、ゆっくりと味わいたい。ボディケア、足つぼマッサージ、タイ式マッサージやエステが充実しているのも、女性にとってはうれしい限り。山の自然、温泉、料理、そしてエステに、こころもからだも芯からリフレッシュできることだろう。

色とりどりの料理にも期待が高まる(写真はイメージ)。日帰り客向けの「お食事処」もあり、気軽に食事を楽しむこともできる
写真提供:天成園

だが、天成園はそれだけでは終わらない。もうひとつの目玉は、1年を通して行われる「清水アキラショー」。テレビでおなじみのあの物まねが、間近で楽しめる。しかも、2010年1月末までの期間は、グランドオープンを記念して期間限定の無料公演となっている(公演日はホテル公式ページ参照)。

エステサロン「プリマヴェーラ」の一室。女性用だが、男女カップル用の部屋も用意されている

伝統の老舗温泉施設に、さまざまなアイデアを盛り込んで生まれ変わった天成園。箱根湯本の新しい顔を確かめてみるため、足を延ばしてみてはいかがだろうか。