日本アイ・ビー・エムは12月14日、記者説明会を開き、他社システムから同社製システムの移行に関する同社の取り組みについて説明を行った。発表会では、システム製品事業担当 専務執行役員のポール・マウン氏が移行プログラム「Japan Migration Factory Program」を中心に、同取り組みに対する具体的な施策を明らかにした。

日本アイ・ビー・エム システム製品事業担当 専務執行役員のポール・マウン氏

同氏は初めに、「これまで30年間以上、ITに携わってその変化を見てきたが、最も重要なのはタイミング。今、日本の企業はインフラの変革を起こす時に遭遇している」と述べた。

その1つ目の根拠としては、同社が行ったCIO(Chief Information Officer)を対象とした調査で、40%以上のCIOが重要な外部要因として認識している「グローバル化」と「人材スキル」に対応するために、「大規模な変革」が必要ととらえていることを紹介した。

また、デジタルデバイスの増大により、リアルタイムでのデータ分析や予測を必要とする、これまでは使っていなかったような新たなアプリケーションが生み出されており、それに対応可能なインフラの需要が高まっていることも、その要因だという。

こうした状況ながら、同氏は「数年前に外国の記者が"日本のITインフラ市場は新興市場"と記していたが、日本企業はまだその状態から脱しておらず、インフラの変革が必要」と訴えた。

同社はITインフラの変革の手段の1つとして「システム移行」を位置づけ、さまざまな施策を講じている。例えば今年10月には、他社製品によるシステムから同社製品を用いたシステムへの移行を支援するための部門横断的な施策「Japan Migration Factory Program」を開始し、顧客のシステム移行の支援を行う専門組織「Migration Center of Competency(MCoC:移行総合技術センター)」を新設した。

同氏は「Japan Migration Factory Programでは、当社が過去に手がけた5,000社以上の顧客における移行プロジェクトから集約されたノウハウやツールによって、システム移行をサポートする。つまり、きちんと"テストされたもの"、"稼働することが証明されたもの"を提供するというわけだ」と、同プログラムの信頼性をアピールした。

また同氏は、同プログラムは「商品を提供するものではない」とも言及。「Migration Factory Programで提供する30種以上のツールのうち、サードパーティ製のツールも含まれている。これらについては販売も当社がサポートする。また、Migration Factory Programは当社がこれまで培ってきた経験・知識・能力に基づくサポートとサービスを提供する。同プログラムでは、マイグレーションガイドなど、約半分の情報を無償で利用することが可能だ」

10月の新設時のMCoCの人員は70名だったが、現在は120名に増員されている。また2009年、日本でJapan Migration Factory Programを活用した顧客の数は25だったという。

そのほか同プロジェクトでは、無償アセスメントの提供も開始した。その対象は「システム基盤移行」、「Oracleデータベース移行」、「プログラムコンバージョン」、「他社プラットフォームからのSAPシステムの移行」、「他社プラットフォームからのOracle EBSシステムの移行」、「他社プラットフォームからのPeopleSoftシステムの移行」だ。

Japan Migration Factory Programの無償アセスメントの概要

同氏は、「"R&Dに十分な開発投資が行えない"、"製品ロードマップを実現できない"といったベンダーが少なくないが、当社は違う。サーバやストレージにおいてスケールアップ型とスケールアウト型のラインアップを準備したり、ロードマップどおりに3年ごとに新たなPOWERプロセッサを発表したりしている。こうした実績を有する当社のスキルをぜひ活用していただきたい」と述べた。