インテルは11月26日、マイクロプロセッサーのトレンドに関する報道関係者向けのセミナーを開催した。

このセミナーは、現在、モバイル、デスクトップ両製品の主力CPUで採用されてるアーキテクチャ「Intel Microarchitecture Nehalem」の機能を、あらためて整理するとともに、2010年にCPUラインナップを拡充するにあたり、従来のCore 2シリーズとの違いを消費者に明確にアピールすることを目的としたもの。

同社マーケティング本部 ダイレクトマーケティング部 コンシューマ・プログラム・マネージャー 梶原武志氏、ならびに技術本部 技術部長 秋庭正之氏が解説を行った。

インテル マーケティング本部 ダイレクトマーケティング部 コンシューマ・プログラム・マネージャー 梶原武志氏。手にしているのはCore i7と同i5

テクノロジ部分の詳細解説を担当するのはインテル技術本部 技術部長 秋庭正之氏

梶原氏によると、「2009年末にはPC販売台数の80%以上がCore 2 Duo搭載モデル」とのこと。廉価なCeleronではないというのが大きく、ノートブックが中心の市場であるため、(低消費電力性能などで優れる)Core 2 Duoがヒットしたのではないかと分析した。

Core 2 DuoはPC販売台数の80%以上にも達したヒット製品。Core i7/i5シリーズはこれを超えることを目指す

Core i7/i5シリーズはこのCore 2 Duoを引き継ぐ次世代製品である。Core 2 Duoがヒットしたゆえに「次が難しい」という冗談も飛び出したが、これから一般量販店での啓蒙を進め、業界全体で新しい製品ということで盛り上げて行ければ良い、としている。また、すでにプロセッサのパフォーマンスは十分、という評価も一般消費者の中にはあるが、「PCはいろいろなものに対応していくもの」としてキラーコンテンツとしての「ハイデフ(HD)」をキーワードに挙げた。既にデジタルカメラ等でHDビデオの撮影デバイスは身近なものとなってきており、一方で4年ほど前のPCではSD映像の編集に支障はなくともHD映像ではパフォーマンスが足りない。Core i7/i5シリーズはまさにこうした用途に応えるパフォーマンスを持っていると紹介した。

PCを取り巻くデジタル環境の進化とともに、プロセッサパフォーマンスもより高いものが求められていく。プロセッサは「今のままで十分」「そこまで要らない」というものではない

インテルのプロセッサラインナップ。今後はCore i7、i5、i3という3段階の製品分けに移行すると紹介。i7/i5/i3の違いはコア数や実装された機能ではなく、「体験できること」とされる

秋庭氏はCore i7/i5シリーズに搭載された代表的なテクノロジとして「Intel Hyper-Threading Technology」と「Intel Turbo Boost Technology」を紹介した。

Hyper-Threading Technologyは、1つの物理コアにおいて2つのスレッドを同時実行できる機能であり、対してCore 2シリーズなど従来のプロセッサは、1つの物理コアが1つのスレッドを実行していく。現在販売中のCore i7では4つの物理コアを内蔵しているため、8つのスレッドを同時実行可能だ。そして先月発売されたWindows 7はこうしたマルチスレッディングに最適化されており、「Windows 7とCore i7とは相性が良い」と紹介している。

左がCore 2、右がCore i5でコアはともに2つだが、Hyper-Threadingに対応したi5は4つの処理が同時実行可能。なおi5で紹介されているが、先のラインナップにあるとおり、「コア数や実装された機能で名称が決まるわけではない」ため。現在の4コア・Hyper-Threading非対応のi5だけでなく、今後はデュアルコアでHyper-Threading対応のi5も登場し得るということになる

Core i7/i5シリーズとWindows 7は「ベストな組合せ」とのこと

Hyper-Threading Technologyがマルチスレッドでパフォーマンスを高める一方で、マルチスレッドに非対応の、シングルスレッドアプリケーションでは、プロセッサの動作周波数(クロック)に依存している。Turbo Boost TechnologyはCPUの熱設計値(TDP)の枠内で、自動的にオーバークロックし、性能を引き上げる機能と紹介した。

こちらもCore 2とi5とで比較。Core 2は動作コア数を可変するだけだが、Core i5はコア数だけでなく、処理要求と熱設計の枠内でオーバークロックを行う。右にイメージが示されているが、ここぞという時に大火力にもできるコンロといったところ

また、合わせて「Power Gate」と呼ばれる機能も搭載されている。Power Gateは、アイドル状態のコアに対し電力供給をカットし、消費電力を(限りなく)ゼロとする機能であり、従来世代の製品には無かった機能として紹介された。

これらテクノロジを総合したCore i5/i7プロセッサは、「さらなる高性能」と「さらなる低消費電力」という相反するニーズに応えているとしている。インテルではCore i7/i5シリーズをエンタテインメント重視であるのはもちろんだが、日常使う用途でも性能向上を図っている「バランスの良いプロセッサ」とアピールしている。

UQコミュニケーションは基地局設置を前倒し

UQコミュニケーションの総務部広報担当である二宮真一氏

今回の説明会ではUQコミュニケーションの広報担当である二宮真一氏も出席し、WiMAX事業についての現状報告を行った。同社は先日、基地局設置の前倒しを発表している。これは計画発表当初では、2009年度の開局数を4,000局としていたところ、6,000局に拡大するというものであり、11月時点で35都道府県の262市町村でエリアを展開している。

UQでは基地局設置計画を前倒し。エリアは着実に広がってきている

2010年度末には全国主要都市へと拡大するとのロードマップ

また、今後のロードマップとして、2009年度末までに全国の政令指定都市および県庁所在地に設置(人工カバー率55%)、2010年度末にはこれを全国主要都市に拡大(人工カバー率76%)し、2012年度末には人工カバー率93%を目指すという。同時にネットワークデバイスおよびMVMOなどのネットワーク自体のオープン化をポリシーに、PC以外の様々なデバイス、携帯ゲーム機やデジタルサイネージといった分野でもWiMAXの利用を促進してくとの戦略が紹介された。

オープン化によってモジュールの小型化も容易。こうした点を生かしてPC以外にもゲーム機や情報家電、サイネージなどにも展開していきたいとしている