映像や音楽に携わるプロフェッショナルのための展覧会「InterBEE 2009」が幕張メッセで開催された。このイベントは映像関係者に向けた展覧会のため、展示されるビデオカメラの主役はテレビ放送局が使うような担いで使うタイプや、スタジオに設置するような大型のカメラ。しかし、最近はプロのカメラマンのなかでもキヤノンのムービーデジタルカメラを音楽PVやCMなどに、「映像撮影用機材」として使う人が増えてきている。そんな背景からか、今回のInterBEE会場内では一眼レフカメラ用の周辺機器がいくつか出品されていた。

キヤノンブースでは「EOS MOVIE」コーナーを設置。発表されたばかりの「EOS 1D Mk IV」も展示されていた

キヤノンブースのメインステージでは、動画機能つきのカメラ「5D mk II」、「7D」、「1D Mk IV」の3台が並んでいた

ムービー一眼レフカメラの長所とは?

最近のムービー一眼レフカメラは、プロ用ビデオカメラよりも本体価格が安いにも関わらず、非常に美しい映像を撮影できるよう進化している。機材もコンパクトで、マウントさえ合えばレンズ交換も簡単。明るいレンズを使えば被写界深度の浅い映像が撮れ、魚眼レンズを使えば人の視界以上の風景を撮れる。ビデオカメラでは難しい映像を簡単に撮影できるのが、ムービーデジタル一眼レフカメラの魅力だ。

しかし、当たり前だが一眼レフカメラは、あくまでも写真を撮るために開発されているため、動画撮影のことはあまり考えられていない。悪く言えば、動画撮影機能はあくまでも「おまけ機能」。そのため、操作性の観点から言うと、けっして使い易いとは言えない。使っていてもっとも困るのは、撮影中にフォーカスを合わせるとき。フォーカスリングが小さい上にファインダーが精細ではないから、撮影中にフォーカスを合わせるのは困難極まりない。せっかくキレイな絵が撮れるのに、ピントが合わせにくいという致命的な欠点がある。ただし、そういった欠点を補うための周辺機器も数多く存在している。ここでは動画を撮影しにくいデジタル一眼レフカメラを、まるでビデオカメラのように使い易くしてくれる、いくつかの機器に注目した。

くっきり見やすい着脱可能なビューファインダー

テックス、インテックスのブースでは、米国Zacuto社のアクセサリーを展示。人気の商品はカメラの液晶ビューに取り付ける「Z-Finder」。構造は単純だが、使ってみるとあまりにも便利なので驚くはず。フォーカス合わせがとてもラクになる逸品だ。

周りの光を遮断しつつ、液晶画面を拡大する接眼レンズ これをつけるだけでフォーカスを合わせやすくなる

本体側にファインダーを取り付ける台座フレームが接着してある。ファインダー本体は自由に着脱可能

一眼レフがまるでビデオカメラのようになる

前記したテックスと同様、Zacutoの正規輸入代理店であるノビテック。このブースでは、「Zacuto DSLR」が「EOS 5D Mk II」にセットアップされていた。ブースではビデオ三脚に取り付けられていたが、取り外せば担ぎカメラのスタイルで運用可能。フォローフォーカスには延長ロッドを取り付けられ、フォーカスマンとのふたりで撮影に挑める。

ファインダーの他に、ハンドルグリップやフォローフォーカスなど、多数の機器が装着してある。もはや一眼レフカメラには見えない

フォーカスの延長ロッドは、カチッと差し込むだけで取り付けられる

延長ロッドは、写真のように離れた場所から操作可能だ

映画撮影に最適なアクセサリー

三脚メーカー ザハトラー・ジャパンのブースにあった一眼レフカメラ用周辺機器は、redrockmicro社製のアクセサリーキット。輸入販売はライトアップが行なっている。青いグリップが目印のredrockmicroは、映画撮影用途に最適。「DSLRシネマセット」は、フィルターを2枚装着可能なマットボックスやハンドル、フォローフォーカス、レンズギアなどがセットになっている商品だ。Zacutoと違い、ライブビューフォーカスはない。その代わりに、フレーム後部に別売りのHDモニターを装備して運用する。 このセットはザハトラーのビデオ三脚「VIDEO 15 SB」に取り付けられていた。大型カメラほどの重量はないので、このような中型三脚でも問題なくバランスがとれるそうだ。

グリップやレバー類は鮮やかな青で統一されている

側面から見ると一眼レフカメラであることを確認できる

一眼レフカメラの後部に空いているスペースは、HDモニターやコンバーターなどをセットするためのスペース

フォーカスリングも適度な大きさで使い易い

両手でホールドするカメラサポートシステム

シネマックスのブースでは、Vocas社製の「DSLR/MFC-1」を出品。この製品は、両手を使って操作をするアルミニウムの軽量フレーム。グリップ部分にはやわらかい革が捲いてある。撮影中は両手がふさがってしまうが、フォローフォーカスは大型の「スターノブ」がついているため、グリップを握った状態でもフォーカスを操作可能。

両手でフレームをホールドするので安定感がある

フォローフォーカスはスターノブを取り付けられる。グリップ上部を掴むようにすれば、撮影中でも指でフォーカスを操作可能

フォーカスを駆動させるギアは、レンズ下部に配置されている

作りに定評があるシネスタイルアクセサリー

ナック イメージテクノロジーのブースでは、映画撮影用カメラの「PLマウントレンズ」を、キヤノンの一眼レフカメラ「EOS 5D Mk II」に取り付けるシステムを展示。これは、同社がカールツァイス製のレンズ「コンパクトプライム」に加工を施し、装着可能にしたものだ。レンズの他に、アリ製のフォローフォーカスもついている。フォローフォーカスの作りはしっかりしていて、操作時の不安定さは一切ない。また、フォローフォーカス内のネジの向きを変えることで、フォーカスリングの回転方向を変更可能。

映画撮影用カメラのPLマウントレンズが一眼レフカメラに装着可能

フォローフォーカスのセッティングは1本のレバー操作で簡単に行なえる

レンズ本体とかみ合わせる歯車は可動範囲が広く、自由な角度で設定可能

編集ツール「EDIUS」

ノンリニアビデオ編集ツール「EDIUS」シリーズを販売するトムソン・カノープスのブースでは、ムービー一眼レフカメラとの親和性をアピール。ニコンやキヤノン、パナソニック、ペンタックスのカメラをずらりと展示した。AVCHDファイルのリアルタイム編集を行なう「EDIUS Neo 2 Booser」や、ハードウェアアクセラレーター「FIRECODER Blu」、「HDSPARK」を勧めていた。

「EDIUS」シリーズの最高峰「EDIUS Pro 5」は、放送局でも使われている強力なビデオ編集ツール

ムービーデジタル一眼レフカメラが勢揃い。一眼レフカメラユーザーが増えているので、同時に編集ツールの需要も高まってきている