全国の精鋭が集う「ETロボコン」

2009年11月18日(水)、パシフィコ横浜にて「ETロボコン(ETソフトウェアデザインロボットコンテスト) チャンピオンシップ大会」の競技会が開催される。18日(水)~20日(金)の3日間の日程で開催される「組み込み総合技術展 Embeded Technology 2009」の併設イベントとして、展示会場内に競技コースが設けられての実施となる。

日程は、朝8:30に出場者の受付を開始し、午前中に車検。正午より開会式を行い、12:30より競技1回目、14:20より競技2回目、16:15より表彰式の予定。関係者以外の見学も無料で自由にできる。(ただし、"組み込み総合技術展"の会場見学は要登録)

競技会の様子(なお、競技会の模様は、東京工科大学 Intebroの協力によりインターネット生中継も実施される。あわせてPicasaへの画像データアップ、YouTubeへの動画データアップも随時行われる)

また、11月19日(木)には大会審査員によるモデリングワークショップも開催される。こちらも無料で一般参加が可能だが要登録。日程は、10:00より「パネルディスカッション 2009年度モデルの傾向分析 ~技術要素からモデルまで~」、12:00より「モデル解説ツアー + ミニワークショップ」、13:00より「モデリング相談所 + クロージングパネル」となっている。

ワークショップの様子

「ETロボコン」については、9月にも"地区大会開催中!"ということでレポートをお届けしたが、今回のチャンピオンシップ大会は、8月末~9月いっぱいで行われた各地区大会において選抜された優秀チームが対決する、言わば全国決勝大会だ。

今年は、北海道・東北(盛岡)、北関東(群馬)、東京(東京)、南関東(神奈川)、東海(浜松)、関西(京都)、九州(福岡)の7地区で地区大会が開催され、(東京のみ参加チーム多数のため、2日間開催でA・Bの2ブロック)、全354チームが参加。参加チームは、全国の有名企業や系列会社をはじめ、大学、専門学校、高校、個人まで多岐にわたっており、組込み分野技術者の交流、コミュニティ形成にも貢献している。

懇親会の様子

先の記事とも重複するが一応説明すると、「ETロボコン」は組み込みソフトウェア分野における技術教育を目的としたイベントで、同一ハードウェアにおいてUML(Unified Modeling Language = 統一モデリング言語)などで分析・設計したソフトウェアの技術を競うもの。

他の多くのロボコンがハードウェア志向なのに対し、あくまでソフトウェアの優劣を競うためハードウェアはワンメイクとし、レゴブロックのロボットキット「教育用レゴ マインドストーム」を採用。本部配布の組立手順に従った規定のライントレース走行体を使用する。昨年までは初期バージョンの「マインドストーム RCX」の四輪走行体が使用されてきたが、今年は現行バージョンの「マインドストーム NXT」による倒立振子型の二輪走行体が登場し、両部門が実施される((来年からは完全移行して後者に一本化される予定)。

審査に関しても「ロボット走行性能」と「ロボット走行システムのソフトウェア設計モデル評価」という2つの側面から行われ、競技会での走行タイムだけでなく事前に提出したモデル(設計図)も審査の対象になるのが大きな特徴だ。

会場には出場チームのモデル(設計図)も展示される

走行競技は専用トラックで実施されるが、このトラックにはインコースとアウトコースで2本のラインが引かれており、2体同時に出走してタイムを計測する。競技は2ラウンド行われ、参加チームはインコースとアウトコースを入れ替わって2回出走することになる。

基本的にはこの2回分の走行タイムの合計を競うのだが、周回判定用のゲート通過、"難所"と呼ばれるポイントの通過などでボーナスタイムも得られる。"難所"は、インコースには「ツインループ」、アウトコースには「ショートカット」、「トレジャーハント」という異なるものが設けられており、また、ゴール後の停止もボーナスタイムとなる。

実際にはこれらボーナスタイムを差し引いた"リザルトタイム"の合計で走行競技の順位は決定される訳だ。

競技トラック

インコースの"難所"、「ツインループ」

アウトコースの"難所"、「ショートカット」

アウトコースの"難所"、「トレジャーハント」

"難所"を無視してとにかく速くゴールするか、それとも果敢に挑んでボーナスを狙うか。戦略もさまざまだろうが、ソフトウェア設計の観点からすればやはり、しっかり"難所"を攻めてクリアした上で、かつ完走タイムも速い、というのが理想だろう。

"NXT"走行体は今年が初登場のため、地区大会ではまだ完走目指してヨチヨチという印象だったが、チャンピオンシップ大会では果たしてどんな戦いが見られるか楽しみだ。

"組み込み総合技術展"に足を運ばれた方はぜひ「ETロボコン」にも注目して欲しい。