【インタビュー】
8年という歳月をかけて制作された45分のストップモーションアニメーション『電信柱エレミの恋』。町の建築物や背景、キャラクターまで、映像に映る全ての物が立体で制作され、それがコマ撮りのストップモーションアニメーションで活き活きと動く。この凄まじい熱量の作品を作り上げた中田秀人監督が、造形から撮影までストップモーションアニメーションの全てを語りつくす。
――『電信柱エレミの恋』は45分間全編ストップモーションアニメーションという、邦画ではまれな作品です。どのような体制でこの作品は制作されたのでしょうか?
中田秀人(以下、中田)「自分を含む4人のスタッフで8年間かけて制作しました」
――予算や大まかな作業内訳を教えていただきたいのですが。
中田「制作費は人件費無しで700万円ぐらいです。制作時間の6割が造形制作で、撮影が4割という感じですね」
――やはり造形をしながら、同時に撮影もするという体制ですか?
中田「そうですね。造形をしている隣の部屋で造形物を並べて撮影しているという光景は普通にありました」
――やはり、ストーリーボードに沿って撮影を進めていったのでしょうか?
中田「絵コンテは描きますが、撮影段階で変更させる事も多いです。撮影対象が立体なので、コンテと同じ画面にする事にはこだわらず、撮影セットを組んでカメラを通してから描き変えた方を優先するようにしています。それによって造型作業が増えてしまいますが、それはしょうがない事です」
――この作品のようなストップモーションアニメーションの撮影の大変さを知らない読者も多いと思います。簡単に撮影の手順を説明していただきたいのですが。
中田「まず、背景をキャラクターをセットしたら、カメラ位置を決め、そここから撮影を開始します。デジタルビデオの場合は1秒30フレーム、つまり、最も細かく動かす場合は1秒間の映像のためにキャラクターを30回動かして撮影する。それの繰り返しです。子供の頃、教科書の角に描いたパラパラマンガが立体になったものだと思っていただいていいと思います」
――CGを使用しているのかと誤解してしまう程、映像の完成度が高かったのですが、PCによる加工はどの程度行われているのでしょうか?
中田「3DCGで描いたものはないです。月のシーンのみ一部合成していますが、そこもコマ撮り撮影した映像同士を合成させたもので、全ての映像をストップモーションアニメーションで作成しています。最終的な色調の微調整はPCで行いますが、主には撮影時の照明でコントロールします」
――キャラクターも非常によく動くいていました。キャラクターの素材はクレイですか?
中田「クレイは実は全体の5パーセント程度で、木やプラスティックといった素材が多いです。原型制作ではスカルピーを使う事が多いですね。可動部分は、骨組みにステンレスや鉄を削って、ポールジョイント関節を組み込んで動かしています」
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