販売サービスでちょっと副収入? それとも発表の場に?

デザイナー、フォトグラファー、イラストレーターなどクリエイティブ系の職業のみなさん、仕事とは別に趣味やライフワークとして制作した作品をハードディスクの肥やしにしていませんか? せっかくの才能、無駄遣いして賞賛を得るのもひとつですが、ネット上で販売し副収入に換えるという道も考えてみてはいかがでしょう。

一口に販売と言っても、様々な方法があります。とりあえず多くの人に作品を見て欲しい、ポートフォリオとしてWebを活用したいという人には、手軽に投稿できるソーシャルメディア系サービスがオススメ。売上げはあまり期待できませんが、作品発表の場としてはブログよりも手軽かつ好適なインタフェースを利用できます。

ストックフォト系は、当サイトの記事でも紹介されたように意外とフォトグラファー・デザイナーの参加率が低いという事例が。作品が"素材"である以上、使いやすい・汎用的な作品が選ばれる傾向があるため、作者の個性は売上げを阻害する要素になりかねません。我の強いクリエイティブ系にはやりにくいのでしょうか。しかし、利用者のニーズを的確に捉えた作品をプロデュースする能力はプロとして必須。黒子に徹した作品づくりの腕を磨いてみてはいかがでしょう。

反対に、自分の個性を全面に出して活動していくなら、ショッピングカート系サービスで自分の城を築きましょう。決済サービスだけを借りることで、自分のWebサイトやSNSなどいつもの活動場所をベースに即"ショップ"をオープンできます。写真やイラストだけでなく、動画・Flashゲーム・ソフトウェアなど、多彩なジャンルで活用が可能。自力で売上げを目指すことで、セールスプロモーションの修行にも役立つと思われます。

と、まあ便宜的にジャンル分けしてみましたが、サイトの雰囲気や売上げの還元方法などをよく確認して、使い勝手の良さそうなものを選んでみてください。

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手軽に始められる投稿系


■5PHOTO■ コミュニティ感覚で写真・イラストを販売
審査無しでより手軽に始められるのが、情報サイト「ファイブスタイル」が提供する写真投稿サービス『5PHOTO』。ストックフォトというよりは、写真コミュニティといった感じです。イラストも投稿可能。ほとんどは無料の閲覧用作品として投稿されていますが、誰でも有料で販売ができます。プロやプロ志望のユーザーを紹介する「CREATORS LINEUP」への掲載申請を行い、審査を通ると、より注目される形で作品が掲載されます。

販売価格は投稿時に100~7,000pt(1pt=1円)の間で任意に設定。ロイヤリティは販売価格の50%で、月末時点で合計が1万ptを超えていると翌月末に指定口座へ現金で振り込まれます。雰囲気的に高い価格設定は難しそうなので、現金化の道程は長いかも。

「5PHOTO」トップページ

「CREATORS LINEUP」のページ

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■FC2クリエイター■ ダウンロード販売機能が使えるように
ブログサービスのFC2が運営する『FC2クリエイター』は、自分の作品を投稿・管理できるポートフォリオサービス。もともと画像作品のアップロード/閲覧ができるサービスでしたが、今年8月から新しくコンテンツのダウンロード販売機能が追加されました。FC2ポイントを使って販売することができますが、現在のところ有料で販売されている作品はあまり多くないようです。

作品掲載に審査はなく、ユーザーは100ポイントから自由に価格を設定できます。販売ポイントの30%が手数料としてFC2に支払われ、収益合計1万ポイントで小切手による払い戻しが可能となりますが、こちらも道程は長そうです。

「FC2クリエイター」トップページ

「ポートフォリオ」のページ

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■同人音楽の森■ JASRAC管理楽曲も販売できる
同人音楽の森』は、音楽・楽譜の投稿&ダウンロードサイト。ユーザー登録をすれば音楽や楽譜のデータを販売できます。オリジナルの楽曲だけでなく、ボイスドラマや音源素材などもOK。楽譜のみを販売する機能もあります。MySpace等と併用して販売の場にしてもいいですね。また、JASRAC管理楽曲のカバー作品も投稿可能。カバー曲のボーカル無し音源作品(=カラオケ)や、ボーカロイド作品の投稿も多いようです。

投稿者には売上げの70%(JASRAC管理楽曲は60%)が指定の口座に振り込まれます。振込手数料はサイト側負担と良心的。ただし、振込金額2,000円以下の場合は翌月に繰り越されます。なお、作品登録時には同サイトが作品内容について簡単な審査を行うため、掲載までに1~3日を要する場合があります。

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■tegat■ 作品発表の場にも? Tシャツをデザインして売る
tegat(テガット)』は、ブラウザ上のお絵かきツールを使ってTシャツを自由にデザイン・投稿・販売できるサービス。投稿された作品は誰でも1枚3,900円で購入でき、売上げのうち1,000円が作者に支払われる仕組みになっています。作品ページを開くと同じ作者の他の作品が一覧できるので、制作を続ければTシャツをカンバスにしたギャラリーのような状態に。作品のアピールにはもってこいです。また、ここで制作した作品をブログ等に埋め込むためのタグやトラックバック用URLも提供されています。

報酬からは源泉徴収、振込手数料が差し引かれますが、月末締めの翌月15日払いと支払いサイトが短く、売れれば単価が大きいことが特長です。単純なイラストのデータよりも、Tシャツという実体を持つことで金銭を伴う商売につながりやすくなっていると思われます。

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高品質な作品を販売、ストックフォトポータル系


■PIXTA■ 受注もあり! 活動の場が広がる作品販売サービス
当サイトのハウツー記事でも紹介されている『PIXTA』。技術審査を通過したクリエイター会員になると作品(写真やイラスト)を販売できます。アップロードした作品は、タイトル/ タグ/ 補足情報のコメントなどを入力し、審査申請が必要となります。

販売される素材はデータのサイズ別に525円~5,250円。販売額の40%がポイントとして貯まり、一定額になると現金やギフトカード等の形で受け取ることができます。ユーザーからのリクエストへの応募や、撮影・制作案件の受注などもあり、活動の場を広げることにもつながるかも。

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■Fotolia■ 世界12カ国で展開するマーケットプレイス
Fotolia(フォトリア)』は世界12カ国語で展開するストックフォトのマーケットプレイス。コンテンツ提供者として登録し作品が販売されると、販売価格の30~61%のロイヤリティが支払われます。ベクター素材や動画ファイルの販売も可能。こちらもアップロードした作品にキーワードやカテゴリの設定を行った後、審査が行われます。登録したキーワードは自動翻訳で各国語対応になるため、利用者層の広さには期待できます。

販売価格は作者の実績によって決まる「ランク」や作品の「独占販売オプション」契約形態、また販売サイズやライセンス条件などによって細かく定められています。写真なら1~200クレジット(1クレジット=150円)。ランクが上がれば作品単価やロイヤリティ料率が上がるので、制作のモチベーションにもなるのでは。

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自分流の店を持つならショッピングカート系


■デジコンカート■ ブログからショッピングカートを利用可能に
デジコンカート』はGMOデジタルコンテンツ流通(GMOインターネットグループ)が提供するデジタルコンテンツ専用ショッピングカートASP。始めにショップ登録を行い、管理画面からコンテンツをアップロードすると、商品販売ページのURLとブログパーツ用のタグが発行されます。これを自分のWebサイトやブログに貼り付ければ販売ができるという仕組み。決済はデジコンカート上で行われます。動画・音声の他、.flvや一部携帯電話向けのファイルも販売可能で、DMR機能付きの上位サービスも提供。

初期費用・月額費用無料で手軽に始められ、売上げ手数料は25%。月末締めの売上げ合計3,000円以上で、手数料等を差し引いた金額が指定口座に振り込まれますが、支払日は「翌々々月25日」、つまり3カ月先となります。

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■vitCrew.com■ 自分だけのショップページを生成
同じく『vitCrew.com』も決済システムを提供し、ユーザーが自由に作品を販売できるサービスです。登録するとショップのURLが発行され、アップロードしたファイルの販売ページが生成されます。ここには説明用のサンプル動画をYouTubeなどから貼り付けることもできます。さらに特徴的なのは、有料メンバーになった人だけにコンテンツダウンロードを許可できる「メンバーボックス」機能。メンバーになった人は定額でファイルを好きなだけダウンロードできます。

販売価格は300円(または3米ドル)から自由に設定でき、収益は売り上げの70%。受け取り時には、アカウント作成の際に登録したPayPal IDに通知が届きます。

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コンテンツ販売ページ

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■DL-MARKET■ コンテンツ以外にサービス販売に使えそう
DL-MARKET』デジタルコンテンツのオープンマーケットとして、写真集、オーディオブック、音・3DCG素材、フォントなど様々なコンテンツを販売できるサイトです。「アップロード会員」に登録すれば誰でも販売が可能で、初期費用・月額料は無料。コンテンツだけでなく、チケットを使ってサービス料金を徴収するというアイデアも。ソフトウェアの販売向けにシリアルキーの自動配信機能も利用可能です。

手数料は、商品単価1,000円以下なら販売価格の15%、それ以上は10%+60円とリーズナブル。自社サイトにソフトウェアや教材などの製品紹介ページを作成し、決済をDL-MARKETで行っているという企業もあるようです。商品点数が少ない場合などは、ネットショップを出店するより低コストで運営できますね。

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