世界の囲碁を一人で変えたと言われ、数々のタイトルを獲得してきた囲碁棋士、武宮正樹九段。58歳になった今年、NHK杯テレビ囲碁トーナメント準優勝、本因坊戦挑戦者決定リーグ入りなど、相変わらずの活躍を見せている。

私生活では、「ダンスは一日3時間、囲碁は5分」という武宮九段による、囲碁から学んだ人生観がつまった書籍『一生懸命 ふまじめ ~囲碁トッププロの生き方~』が10月に発売された。

「囲碁ファンに限らず多くの人に読んでほしい」という武宮九段に、この本で伝えたいことなどを語っていただいた。

武宮正樹九段のサイン入り本を2名様にプレゼント。記事の最後に詳細を掲載しているのでお見逃しなく!!

PLOFILE : 武宮正樹(たけみや・まさき)

昭和26 年生まれ。昭和63 年までに本因坊位に通算6 期就く。平成元年、世界富士通杯2 連覇、NHK 杯優勝。平成2、3、4 年十段位に就く。平成7 年名人位獲得。TV アジア選手権4 連覇、首相杯争奪戦優勝2 回、早碁選手権優勝1 回。平成21 年、NHK 杯で準優勝し、健在ぶりをアピール。同年、16 年ぶりに本因坊リーグ入りを果たす。 「宇宙流」と呼ばれるロマンあふれる棋風と気さくな人柄で、人気は囲碁界ナンバーワン。過去にレコード発売、ゴルフの書籍刊行、バックギャモンの最高位獲得、ダンスでテレビに出演など、趣味は多分野にわたる。

――本のタイトルですが、「一生懸命 ふまじめ」とは、面白いですね。どのような本なのですか?

「囲碁というのは、最終的に財産が多いほうが勝ち、というようなゲームなんです。だから、普通の人は、常に財産を集めようとがんばる。

だけど僕の碁は、正反対。財産なんてどうでもよく、楽しく生きて、最後に幸せだったらいい、という感じなんです。 僕の碁は、生真面目で心配性の人には、できない打ち方なんですね。あくせく働いて、きっちり貯金して、という人が多いじゃないですか。でも僕は、ふまじめだから、楽しいことばかり求めている。

そんな、楽しいことばかり一生懸命探して生きている僕の考えをまとめたのが、この本なんです」

――なるほど。ふまじめかどうかは分かりませんが、本の前書きには、「ダンスは1日3時間、碁は5分」とあります。これは本当ですか?

「そうなんです。ダンス命です(笑)。ダンスは1日に、最低でも3時間はやっていますね。囲碁は、やらない日もあります(笑)」

――それでも、最近はNHK杯テレビ囲碁トーナメントで準優勝したり、本因坊リーグに入ったりと、大活躍ですよね。その秘訣は何ですか?

「それが、ダンスのおかげなんです。僕は本当に遊ぶことが好きなので、一時は麻雀やゴルフ、バックギャモンとかにはまっちゃっててね。

でも、3年前かな、ダンスを始めてから、そういう遊びをしなくなった。ダンスのおかげで、頭も体も精神も、すっきりなんですよ。ウエストサイズも6cm縮みました。

そして何より、以前に増して、自分の感性が囲碁によく表れるようになった感じがするんです」