SoundDock 10のプロダクトマネージャーCraig A.Henricksen氏

ボーズのホームエンターテインメント部門プロダクトマネージャーCraig A.Henricksen氏に、10月13日に発表されたiPodDockを装備する一体型オーディオシステム、SoundDock 10について、話を伺った。この記事は、インタビューの内容を、要約したものだ。同氏は、2008年に発売されたSoundDock IIなどのデジタルミュージック関係の開発に中心的メンバーとして携わっている。

--発表会の会場で聞いた感じでは、SoundDock 10は、迫力のある低域が印象的でしたが

Henricksen:臨場感のあるサウンドを実現するためには、低域は重要です。ただ、低域だけではなく、サウンドのクリアさ、明瞭度、ダイナミックレンジなど、そのほかにも重要な要素が存在します。SoundDock10は、このクラスのリファレンスを目指した製品です。今までのSoundDockや、その他の一体型サウンドシステムとは違い、広いリビングでも十分なパワーも備えています。バラコンに匹敵するサウンドクォリティを実現しており、ぜひ、プライマリーなサウンドシステムとして使って欲しい製品です。

--SoundDock10は、従来のSoundDockに比べて、かなり大型化しています。このサイズは、ウェーブガイドのサイズによって決定されているのでしょうか

Henricksen:ウェーブガイドの長さで決まるというよりも、コンパクトさとクォリティとのトレードオフで決定されています。大型化に伴い音質も向上するでしょうが、あまり大きくなりすぎると、一体型システムという製品としてのデザインやバランスが崩れてしまいます。この2点のバランスの上にSoundDock 10は成り立っています。

--SoundDock10では、ウェーブガイドの長さは、従来よりも短くなっていると伺いましたが、これはなぜでしょうか

Henricksen:ウェーブガイドの長さや形状は、シミュレーションや、度重なる試作によって決められています。ただ、今までのウェーブガイドは、コンパクトな筐体に組み込まれたフルレンジスピーカーの再生能力を向上させるというものでしたが、SoundDock 10では、2.1chシステムを採用しています。SoundDock 10に搭載されている中高域用のドライバー「ツイドラー」は、これだけで、中高域に関しては十分な性能を持っています。そこで、SoundDock 10のウェーブガイドは低域用のドライバーのみに取り付けられています。このシステムの構成も、ウェーブガイドの長さを短くした要因の一つではあります。

--実物を見ると、ウェーブガイドは、かなり薄い材料でできているようですが、また、素材も、普通のプラスチックというように見えるのですが

Henricksen:ウェーブガイドの形状や素材は、さまざまなシミュレーションや、試作によって、最適な素材やデザインが決められています。単純に、素材に厚みを持たせればよいというものではありません。

--サウンド面でお伺いします。SoundDock 10は、日本だけでなく、世界各国で販売される製品ということですが、例えば、販売する国によって、サウンドの方向性を変えるといったことはあるのでしょうか

Henricksen:日本と、アメリカ、ヨーロッパで、音作りに違いはありません。国によってよりも、なにがよい音と感じるかや、音の好みは、聞く個人個人によって異なります。例えば、圧縮されたデジタル音楽しか聴いたことのない人にとってのよい音と、コンサートやライブなどによく足を運び、また、家ではよいシステムを使用して音楽を聴いているような人とでは、音というものに対する感じ方も異なって来るでしょう。

技術的には、ソースを忠実に再現するというのがボーズのスピーカーです。我々が目指しているのは、あくまでもナチュラルなサウンドです。これは、我々がが、過去40年間、そして現在も研究開発を続けているものです。また、SoundDock 10は、iPodに対応していますが、とくにiPodに合わせてサウンド面のチューニングしているというわけではありません。これは、iPodに限らず、他のさまざまなオーディオソースでもベストの再生が可能なようにするためです。

--SoundDock 10では、広い部屋でも十分なパワーを発揮できると伺いましたが、広いリビングとはどれぐらいの広さを想定されているのでしょうか。日本では、本当に広いリビングのある家というのは、きわめて少ないのですが

Henricksen:広さを具体的に想定しているわけではありません。ただ、リビングといっても、部屋によって条件は異なります。例えば床がフローリングだったり、またはカーペットがしかれているというケースもあるでしょう。SoundDock 10は、そういった、さまざまに異なった環境でも、十分なクォリティを発揮できるだけのパワーを持っています。なにもこれは、広い部屋に限ったことではありません。狭い空間で使用した場合でも、従来より、余裕のあるサウンドを楽しむことが可能です。

--最後に、日本の読者の方々にメッセージがあれば

Henricksen:SoundDock10は、iPod用一体システムの新しい基準を作った製品だと自負しています。ボーズのナチュラルなサウンドを、ぜひお楽しみください。

SoundDock10