【インタビュー】
なぜ、日本の企業はこれほどまでに帳票にこだわるのか――開発者の多くが一度は抱くこの問いに対し、日本初の国産ERPパッケージの開発者として知られる梅田氏は、おぼろげながら、ある答えを見つけているという。
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梅田 弘之――システムインテグレータ 代表取締役社長。1989年に入社した住商情報システムにてERP「ProActive」を企画・開発。1995年に独立しパッケージ事業を展開。2006年にMIJSコンソーシアムを立ち上げる。 |
「例えば、米国では帳票という概念がほとんどありません。レポートは頻繁に使用しますが、罫線を細かく引いて、そこに数字や文字を印字するといった習慣がないのです。それに対し、欧州は、日本と米国の中間といった感じで、日本ほど細かくはないにしろ、帳票に相当するものを出力して取引に使っています」
こうした文化の違いを手がかかりに、その背景や理由に目を向けることで、日本人の帳票に対するこだわりも紐解ける。そして、そのあたりを理解することではじめて、ユーザーにとって本当に利用価値の高いシステムを作ることができる。梅田氏はそのように考えている。
「システム開発で大切なのは、ユーザーの立場でものごとを考えること。現場を想像しながら、『ここは使いにくい』、『これでは役に立たない』、と気を配っていくことで良いシステムができあがっていきます。日本独自の文化とも言える帳票部分でそれを実践するには、やはりその背景などをおさえておく必要があるでしょう」
11月23日に開催される『ジャーナルITサミット - 2009 帳票開発』において、『現代システムにおける帳票のあり方と活用法』と題する講演を行う梅田氏。その冒頭では「文化論と言うには大仰ですが、日米欧の習慣を紹介しながら、日本人の帳票へのこだわりの理由にも触れる予定」という。
「このあたりを頭に入れておくと、帳票開発に対する考え方が変わり、開発に対してこれまでよりも前向きに取り組めるのではないでしょうか」
梅田氏の講演において、もう1つの大きなテーマに据えられているのが、帳票機能に対する設計/開発/テストの効率化だ。これらのうち、業務パッケージの開発に20年以上関わっている梅田氏ならではの知見が凝縮されているのが設計部分である。
インタビューの場で帳票設計という話題を振られた梅田氏は、その本筋に入る前に、まずはこれまでのITシステムの歴史を振り返った。
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現在、『システム開発ジャーナル』にて「現場で使える! プロジェクトマネジメント術」連載中。そのほか、著書には『グラス片手にデータベース設計』シリーズなど、多数。 |
「ITシステムの歴史をたどっていくと、オフコン、汎用機、クライアント・サーバといった変遷があり、クライアント・サーバの時代には『ペーパーレス』という言葉が大きく叫ばれるようになりました。しかし、テクノロジーの進化とともにシステムで出力できる情報は増え、それらをすぐに印刷できる環境が出来上がっていった結果、ペーパーレスどころか、紙に打ち出す機会が以前にも増して多くなったという事実があります」
コスト削減や環境問題を考慮すると、当然、こうした状況は改善する必要がある。梅田氏は、そのことを説明したうえで、改善のための土壌はすでに出来上がっているとの見解を示した。
「最近では電子承認やBusiness Intelligenceといった技術の導入がユーザー企業の間で進んでいます。これらの技術についてはすでに、導入に対する抵抗感も薄れていると言えるでしょう。こうした技術をうまく活用することで、不要な帳票を減らすことは可能です」
もちろん、技術を導入しただけで帳票の印刷が減るわけではない。では、上記を具現化するシステムを作るにはどのような点に気をつければよいのか。そのポイントとして梅田氏が挙げるのが、画面と帳票の使い分けだ。
「何を画面で表示し、何を帳票として出力するのか。対象としているユーザーのことを頭に入れながら、適切に切り分けることが大切。そのあたりの参考になる話を、パッケージ開発で得たノウハウも盛り込みながら紹介していこうと思います」
そのほかにも、講演では、下準備が大変な帳票のテストをいかにして正確かつ効率的に実施するかや、帳票開発を円滑に進めるうではどのような点に配慮すべきか、といった点も解説される予定になっている。
開発者でもあり、上場企業の経営者でもある梅田氏の講演では、帳票分野のエキスパートを目指す方はもちろん、それ以外の方々にとっても参考になる情報が多数提供されるはずだ。システム開発に携わる方々にはぜひご来場いただきたい。
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