「富山の技術・地域の技術ゾーン」(3) - 教育機関ブース

「富山の技術・地域の技術ゾーン」には、企業出展だけでなく、高専、大学など、富山県および近隣の教育機関からの出展ブースも多数あった。以下、続けて紹介しよう。

富山商船高専は、NHKのテレビ放映でお馴染みの「高専ロボコン」出場ロボットを出展。クレーンアーム型ロボットの操縦体験をはじめ、2002年のロボコン大賞を受賞し、映画「ロボコン」の決勝戦で長澤まさみ演じる主人公チームとも対決した「Fire Wall」と、2005年のデザイン賞を受賞した「NEO-Gravity」も展示されていた。その他、加速や減速のプログラミングができるロボットカーを用いて、勾配のあるコースを極力少ないエネルギーでゴールさせる「エコカーで省エネ・レース」の体験コーナーも実施された。

クレーンアーム型ロボットの操縦体験。後ろに見えるのは「エコカーで省エネ・レース」コーナー

2002年の「ロボコン大賞を受賞した「Fire Wall」は、箱を積み上げるロボット

2005年のデザイン賞を受賞した「NEO-Gravity」

富山工業高専ロボット研究グループは、「車椅子移動補助ロボット」を出展。2本の腕で車椅子を押し、移動の障害となる段差を乗り越える実演を行なった。他に、不整地移動ロボットの遠隔・自動操縦システムや、超音波距離センサを用いた3次元測位システムの実演も行なわれていた。

富山工業高専の「車椅子移動補助ロボット」

不整地移動ロボットの遠隔操作および3Dシミュレーションも実演展示

富山県立大学は、工学部知能デザイン工学科がウサギのような四足動物型の跳躍・着地ロボット「ARU」を展示。動物の二関節筋の構造に学び、簡単な計算と制御で効率よく俊敏な運動ができると言う。その他、聴覚テレプレゼンス、ブレインマシンインタフェース、モーションコントロールなどの研究成果をパネルで紹介していた。

動物四肢の運動機構による跳躍・着地ロボット「ARU」

国立富山大学は、大学院理工学研究部が車輪型の知能移動ロボットを利用した倒壊環境内の地図作成システムを出展。自己位置と全体地図の推定を同時に行う「SLAM(Simultaneously Localization and Mapping)」技術を利用し、ロボットに搭載された距離センサ(レーザレンジファインダ)のデータと左右の車輪の回転から計算するオドメトリ法による自己位置推定によって、環境内の2次元地図を生成すると言う。

その他、同大の石井雅博准教授と東京工業大学精密工学研究所の佐藤誠教授らが開発した糸の張力による力覚提示提示装置「SPIDAR(スパイダー)」や、表面筋電位信号コントローラ、脳波コントローラなど、次世代ヒューマンインタフェース研究についても展示していた。

地図作成用ロボットは遠隔操作も可能で、操縦体験も行なわれていた

厚生労働省所管で独立行政法人 雇用・能力開発機構が運営する北陸職業能力開発大学校は、昨年度の卒業生が製作した多機能警備ロボットを出展。カメラからの画像を処理し、廊下に沿って建物を巡回すると言う。ブースでは警備ロボットを子ども達に操縦させていた他、バランスWiiボードで操作するリモコンカーも人気を集めていた。

多目的警備ロボットと、バランスボードで操作するリモコンカーを実演展示

唯一富山県外からの学校出展となった石川県の金沢工業大学は、第9回レスキューロボットコンテストで消防庁長官賞とベストロボット賞を受賞したロボットを展示。ロボカップサッカーのヒューマノイド・キッズサイズリーグに出場した2足歩行ロボットのデモも行なっていた。

第9回レスキューロボットコンテストの受賞ロボット

ロボカップサッカー出場ロボットも実演展示

「富山の技術・地域の技術ゾーン」については以上。「ライフスタイルゾーン」他の展示については、続くレポート「その2」としてお届けするのでお楽しみに。

また、「セミナー・カンファレンスゾーン」でのトークイベント、「未来へのチャレンジゾーン」での「第16回 ROBO-ONE」については、また追って別レポートとしてお届けする予定だ。