【レポート】
銀座柳通り、みずほ銀行横の道を入ると、目に飛び込んでくる「青汁スタンド」の看板。結構、銀座は歩いているつもりだったのに、不覚にも初めて目にする光景だ。しかも、その建物が……、驚くほどレトロ。そこは昭和の風情の中で、新鮮な青汁が味わえる、「ここが銀座のど真ん中?」と何度も自問してしまう、ファンタスティックワールド(すごい古臭い表現だが)だった。
まずは何よりも、青汁の味を試させていただく。今回の取材は編集担当Tのいやがらせ、だと確信しているので、覚悟を決めてゴクリ。「ん? あれ?」。というのが正直な印象。これまで何度かさまざまな青汁を飲んできたが、口元、鼻元に残る青臭さがない。むしろ、すっきりとした飲み心地。
「ふだん野菜を食べている方は、あまり抵抗がないんですよ。逆に、野菜が日頃たりない方は敬遠されますね」と取締役の田邉さん。これから冬にかけては、原材料のケールに甘味が増して、おいしくなるとのこと。夏場は苦味が感じられるという。季節によって味も変化するというのは、自然の野菜では当たり前のことだろう。
もちろん、人によって味の印象は異なるが、「青汁は苦手」という人も、一度はこの「銀座青汁スタンド」で試してみてはいかがだろう。これからは「旬」。しぼりたてのフレッシュ青汁は、クセになるかもしれない。
店を訪れる人の7割ほどが男性で、40代以上が中心。女性は若い人からお年寄りまでと年齢層は幅広い。大半が常連客だ。コップ1杯、小が250円、大が500円。昼休みに来て、キュッと飲み干していく人が多い。小は180ccでこれだけで1日分の野菜の栄養素が摂れるという。ちなみに大は360cc。
店では乾燥青汁も取り扱っている。こちらも全国に愛好者がいて、発送を行っている。粉末だけでなく、顆粒や粒状のものもあってユニークだ。水に溶かして飲むのはもちろん、料理に入れたりすることもできる。粒状のものは、そのまま食べてもいい。
青汁が作られたのは、1943(昭和18)年のこと。岡山県倉敷市、倉敷中央病院元院長の遠藤仁郎博士が考案し、夫人のヒナ子氏が「青汁」と命名した。「銀座青汁スタンド」がオープンしたのは、1962(昭和37)年。青汁に関する書籍がヒットした遠藤博士に、出版社が出店をすすめて銀座に店ができることとなった。
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店内に掛けられていた遠藤博士とヒナ子夫人の写真。仲のよさが感じられる一枚だ |
トマトと青汁を比較すると、青汁の成分はカルシウムではトマト65個分、ビタミンAは20個分、ビタミンB2は28個分など、その差は歴然としている |
以来47年間、同店は青汁のみを販売し続けてきた。建物も当時のままだ。店内にも昭和の空気が流れているかのよう。スタンドで青汁をさっと飲み干して去る人もいれば、テーブル席で新聞をじっくり読みふけっている人もいるし、店員さんとおしゃべりを楽しんでいる人も。この小さなお店では、懐かしい情景が、ごく普通に見られるのだ。その家庭的な雰囲気を感じるためだけに訪ねてみても、決して損はない。
「青汁スタンド」をもっと展開しないのか、尋ねてみた。「金儲けが目的ではないというのが遠藤博士のお考えです」。田邉さんは首を振ってそう言った。岡山県などの自社農園、指定農園で、農薬も化学肥料も使わずに栽培されているケールは、品質保持のため大量生産はしないという。栽培も家庭的な手作り規模なのである。同店の青汁については、同店サイトに詳しい。真心こめられた青汁の味。やっぱり、試してみたくなるのでは?
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