【レポート】

冬コミの新刊が全部読める!? マンガがテーマの専門図書館『米沢嘉博記念図書館』が10月31日開館

 

この数年、これまで軽く見られがちな存在だったマンガやアニメが海外に大いに認められ、日本を代表する文化芸術として見直されている。「メディア芸術」の一翼を成す重要なカテゴリとして捉えられてもおり、学術的な研究対象として本格的に研究を行う大学も少なくない。そうした中、10月31日、東京・御茶の水の明治大学において、マンガをテーマとした専門図書館『米沢嘉博記念図書館』が開館する。

10月31日に開館する『米沢嘉博記念図書館』

マンガ専門の図書館としては、京都市と京都精華大学が運営する京都国際マンガミュージアムがある。2006年に開館した同館は約30万点を収蔵する世界最大規模の施設だ。今回、開館する米沢嘉博記念図書館は、京都国際マンガミュージアムに比べれば規模は決して大きくはないものの、館名に冠した「米沢嘉博」という名前が大変重要な意味を持っており、同館の存在価値を深いものにしている。米沢嘉博という名前にすぐにピンとくる方は、マンガ業界に関係のある方か、この分野の研究者、あとは相当なオタクと言える。この場合のオタクは、もちろん深い敬意を持って呼んでいるのは言うまでもない。

昔懐かしいマンガ雑誌をはじめ、マンガの現在を知る上で不可欠な存在と言える同人誌も納められる

通りに面した1階には、マンガ専門らしい遊び心にあふれた米沢氏を模したキャラクターが描かれている

米沢嘉博を語る上で避けて通れないのがコミケ、つまりコミックマーケットだ。いまや夏や冬の風物詩と言えるまで巨大に成長したコミックマーケットを興したひとりが米沢氏だ。米沢氏は明治大学在学中より批評集団「迷宮」の活動に参加し、ライターや編集を経て、以後はマンガ評論家としてマンガを中心に大衆文化関連の評論を行ってきた。1975年に第1回コミックマーケットの創立に参画し、1980年から2006年までコミックマーケット準備会の代表を務め、現在、世界的なムーブメントにまで成長した同人誌即売会であるコミケの理念を育てた人物だ。

同館では米沢氏が惜しくも2006年に他界するまで収集し続けた膨大な蔵書を公開する事がひとつの目的となっている。このいわゆる「米沢コレクション」はマンガ雑誌や単行本、同人誌、サブカルチャー(SF、アニメ、映画、音楽など)雑誌、風俗関連の雑誌類など、多岐にわたっている。米沢氏の蔵書は膨大なもので、推計十数万冊と見られている。米沢氏は収集した蔵書で家が埋まってしまうと、別の家に移り住み、さらにそこがいっぱいになれば……といった具合で蔵書を増やしていったという。

本プロジェクトを進める同学国際日本学部の森川嘉一郎准教授は、「米沢家より持ち込まれた米沢さんの蔵書は4,000箱を超えています。収め終わった後に、またあったと1,000箱が届くなど、後から後から出てきています。開館を目前にした現在でもその全容は把握できていないのです」と語る。これにコミックマーケットでの見本誌を含めると、正確な数が把握する事は至難の業と言えそうだ。森川氏によれば、別館において整理作業が現在も続いており、開館後も作業が続けられる事になるという事だ。

同館は同学の施設が集中するお茶の水エリアでも、本の町・神保町の住宅街に面し、夏目漱石の母校である錦華小学校(現・千代田区立お茶の水小学校)の並びの静かな場所に立つ。お茶の水駅または神保町駅から7,8分という立地だ。施設自体は地上7階、延べ床面積がおよそ810平方m。1階には展示室があり、米沢氏に関わるコレクションが展示される。閲覧は閉架が主体となっており、3階以上の閉架書庫に納められた蔵書を、2階の閲覧室で閲覧する事になる。なお、一部だが、雑誌類を中心にテーマに沿った開架閲覧も行う予定だ。同館は一般に広く公開されており、18歳以上であれば、会員登録する事で、同学関係者以外でも閲覧する事ができる。ただし、一切、館外貸出は行っていない。

3階以上は閉架書庫として、マンガ雑誌など貴重な蔵書が納められている

貸し出しカウンターを備えた2階の閲覧室

閲覧室は30席程。蔵書の館外持出しはできないので、ここで閲覧する事になる

同館での目玉と言えるのが、コミックマーケットでの見本誌が閲覧できるようになる事だろう。すでに次回、2009年12月29日開催予定の冬コミ(コミックマーケット77)で発行される新刊で、準備会に納められる見本誌(CDなどをのぞく冊子状のもの)すべてが同館に持ち込まれ、閲覧に供される予定となっている。

当然だが、現在の同館の規模では、これらの蔵書すべてを納めきる事はできない。そこにこそ明治大学が進めるアニメ・マンガアーカイブ構想がある。現在、『東京国際マンガ図書館』という仮称で準備が行われている。この壮大な計画と開館までの経緯などについては次回、森川先生にお話をうかがうこととしたい。

十数万冊におよぶ蔵書を前に、整理は当分続くそうだ。こちらは閉架書庫。整理作業は別の場所で行われており、開館時には写真の場所は整理が済んでいるだろう

ディズニー、鉄腕アトム、ペコちゃん……子供向けと見られる貴重なコミックばかりが並ぶ

1968年創刊の「少女コミック」(発行:小学館)。小学生から高校生までの女子に絶大な人気を誇った漫画雑誌。現在では一部、ウェブコミックとしても展開している

1964年創刊の「月刊漫画ガロ」(発行:青林堂)。ちょっと年齢層の高い読者に支持され漫画雑誌で、ツウな漫画好きの要求を満たしていた。2002年に惜しまれつつ廃刊

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