【レポート】

組込からHPCまで幅広く使われるPOWERアーキテクチャのコンファレンスが開催

1 1コア32GFLOPSの処理性能を実現するPower7

    Hisa Ando  [2009/10/19]

    POWERアーキテクチャコンファレンスが開催

    IBM、Freescale Semiconductorの両社が中心となって開発してきた「POWERアーキテクチャ」であるが、2005年6月にPower.orgが設立されて業界団体が管理するオープンアーキテクチャとなっている。Power.orgの創立メンバーはIBM、FreescaleとSynopsysの3社であるが、現在では30社近いメンバーを持ち、会員各社が参加する委員会でアーキテクチャの方向性などが決められている。

    このPower.orgによるPOWERアーキテクチャの普及活動の一環として、2009年10月16日に東京・品川のコンファレンスセンターにて「Power Architecture Conference Tokyo」が開催された。

    POWERプロセサというとIBMのpシリーズサーバやスーパーコンピュータ「BlueGene」などハイエンドのコンピュータが有名であるが、実は、組み込みプロセサとしても大きなシェアをもっている。まず、据え置き型のゲームコンソールの分野では、Wii、Xbox 360、PS3と主要な3つのコンソールがPowerアーキテクチャのプロセサを採用しており、この分野では圧勝である。また、携帯電話などのワイヤレスの基地局用の機器では90%以上のシェアを持つという。さらに、POWERアーキテクチャのプロセサやコントローラは車載機器の分野でも強く、新車の50%以上が複数のPOWERアーキのプロセサを搭載しているという。

    そして、次の図のPOWERアーキテクチャのプロセサのロードマップが示された。メーカーはIBM、Freescaleだけでなく、AMCCやその他の会社もPowerアーキのプロセサを作っている。

    POWERアーキテクチャプロセサのロードマップ

    ハイエンドの組み込みプロセサでは、サーバやPC用の汎用プロセサと同様に、消費電力を押さえて高性能化を実現するためにマルチコア化が進んでいる。一方、ハードウェアを制御するためにはVxWorksのようなリアルタイムOS、ユーザインタフェースのアプリケーションを動かすためにはLinuxやAndroidなどと1つのシステムで複数のOSを必要とする用途が増加しており、ハイパーバイザを用いた仮想化が重要な技術となるなど、組み込みプロセサの世界も、汎用プロセサと同様に大きく変貌してきている。

    POWER7のクロックは4GHzか?

    同コンファレンスではPOWER.orgのBehmann氏が次世代のPOWERアーキテクチャの製品を紹介した。1つは、組み込み用のPowerPC 476FPというコアで、1.6GHzという高いクロックで動作する。そして、もう1つはハイエンドのPOWER7である。

    High Performance Computing(HPC)分野に向けたPOWERアーキテクチャのアプローチ

    このPOWER7の説明スライドで注目すべき点は、コアが32GFLOPS、チップが256GFLOPSと明記されている点である。8月のHotChips21での発表を含め、IBMはPOWER7のクロック周波数を公表していないのであるが、このFLOPS値から導かれるクロック周波数は4GHzとなる。これは現在最速のPOWER6のクロックが5GHzであるのと比較すると20%低い周波数であるが、Intelを始め、他社のプロセサと比較すると高速である。また、倍精度浮動小数点演算性能でチップあたり256GFLOPSは、AMDのHD5870やNVIDIAのFermi GPUには敵わないものの、汎用プロセサとしてはぶっちぎりの高性能である。

    このPOWER7は、現在は8コアのハイエンドチップの形であるが、将来的には1コアを抜き出して組み込み用コアにする計画もあるという。

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