今回はデジタルライトノベル作成ツール「らのべえ」の、新しい可能性を探ってみたい。ライトノベルやアドベンチャーゲームを作るために開発された「らのべえ」だが、別の用途に使うこともできるのではないだろうか?
デジタル日記帳を作ってみる
日記はあまり他人に見せるべきものじゃないけど、あえて友人に見せるために「らのべえ」で作成してみる。「そんなのblogでも開設して、他人に教えたらいいじゃん……」と言われたらそれまでなんですが、今回は「らのべえ」の新たな可能性を探るために、あえてチャレンジ! 日記にちょっとしたフィクションをおりまぜて、アドベンチャーゲーム風に仕立てて友達に遊ばせてみよう。
ではさっそく作ってみます。まず初めに普段のように「らのべえ」を起動し、プロジェクトを作成したら、シーンチャートでシーンを作成する。アドベンチャーゲームの場合は「scene01」とか「scene02」などの名前をつけるが、今回は日記なので日付にしておく。ひとつのシーンをいちにちとして管理すれば、日記を作りやすい。
そして、それぞれのシーン(ノード)の中身は、基本的には写真と文字の表示を設定するだけ。その日に撮影した写真と、その解説文を画面上に表示させる。これを繰り返すだけで、あっという間にライトノベル風の日記が完成する。単純作業が多いので、「らのべえ」の初心者でも、簡単に作れるはずだ。
シーンがある程度貯まったら、「ツール」から「リリース関連→ゲームをリリースする」を選択して、ゲーム化してみよう。あとはDVD-Rに焼いて友達に遊ばせよう。
クイズゲームを作ってみる
ふたつ目のお題は「クイズゲーム」。これは、コマンドの分岐機能を使って、クイズゲームを作るというもの。一般的に選択肢コマンドは、アドベンチャーゲームのストーリー分岐に使うものなのだが、今回は分岐だらけのクイズゲームを作ってよう。分岐の連続なのでシーンの管理はとても大変。シーンチャートをよく見ながら丁寧に作業していこう。もちろん、「らのべえ」なのでクイズ中にかわいいキャラクターを登場させることも可能。あらかじめ素材として入っている女の子のキャラクターを使った「萌え萌えクイズゲーム」なんてのも楽しいかもしれない。
クイズの設問を表示させるところまでは、普段のシーンと同じように作成する。回答の4択は、「選択肢・分岐・パラメータの設定」→「選択肢で分岐させる」を選ぶ |
4択問題の回答をテキストで入力。また、その答えを選んだときにジャンプするリンク先も設定する。1問でも間違ったらバッドエンド……。そんな厳しいゲームも作れるぞ |
実際に動作させてみると、このように表示される |
スライドショウを作る
次は、写真を次々と表示してくれる「スライドショウ」を作成してみよう。これは、最近の画像ビューワーソフトにはある機能だが、あえて「らのべえ」を使って作ってみる。スライドショウの最中には、あらかじめ入力しておいたテキストが表示されて、その写真の解説をしてくれる。
このようなものを作るときに便利なのは、「ウィンドウの処理やウェイト」のコマンド。写真や文字を、どれだけ画面上に表示させておくかを設定できる命令だ。キー入力でスキップさせない設定も可能なので、いやでもじっくり見させるスライドショウを作れるぞ。
動画共有サイトにアップする
「らのべえ」には、動画を作成する機能もある。とはいっても、よくあるビデオ編集ツールのように作るのではなく、画面の動きをそのまま動画に出力する方式だ。動画のキャプチャーを行なうには、「デバック」の最中に「R」キーを押すだけ。もう一度「R」キーを押すまでウインドー内をキャプチャーし続けるのだ。この機能を使えば、前記したスライドショーをそのまま動画にして、YouTubeなどの動画共有サイトに公開できる。
「らのべえ」は3DCGソフト「Shade」との相性が良い
ここまで「らのべえ」の変則的な使い方を紹介してきたが、最後は硬派にまとめてみたい。「らのべえ」にはあらかじめたくさんの画像素材が収録されているが、どれも萌え系のかわいいイラストばかり。もしも作りたいシナリオが硬派なものだったら、自力でイラストを描くしかない。シリアスなグラフィックのノベル作成に挑戦してみたいという人にオススメなのは、イーフロンティアから発売中の3DCGソフト「Shade」と、アンロックデータ集。アンロックデータ集は、飛行機やロボット、美少女など、いくつものラインアップが用意されている。ただし、「Shade」でレンダリングした画像を保存する際には、必らず「PNG」形式でセーブするようにしよう。PNGならば自動でマスクが設定されるため、キャラクターの輪郭がきれいに切り抜かれるのだ。