フランスでビオロジック農家が急増している。そういえば日本でも最近は、ビオワインをよく見かけるようになってきた。……ビオワイン、いわゆる自然派と呼ばれるものだが、果たしてこのワインの説明をきっちりしっかりできる人がどれくらいいるのだろうか。ここでは、ビオロジックやビオディナミの基本的な解説を行いつつ、サンプルケースとしてフランス・シャブリ地方のビオ事情をお届けする。

フランスでも急増中のビオロジック農家

私事になるが、我が家の近くのワインショップには、ビオワインに"てんとう虫のシール"を貼っている。こうやって、通常のワインとわかりやすく区別しているのだ。ここ最近の様子を見ていると、"てんとう虫"の数は日を追うごとに増えており、今ではショップ全体の2割近くになっているという。

それもそのはずで、フランス食品振興会(SOPEXA)によると、ビオロジック農業を推進する公益団体「アジャンス・ビオ」の統計では、ビオロジック農業を実践する農家は、2008年には前年より11%増加し、フランス農家全体の2.6%を占めているとのことだ。2001年~2007年までは年平均2.5%の増加だったことを考えると、2008年になっていかに急増したかがわかるだろう。またブドウ栽培面積は、ビオロジック転換中も含めて2008年は前年と比較して25.2%増になったという。

フランスで、ビオロジック農家が急増中だ

一口にビオ(自然派)と括るが、それには「ビオロジック」と「ビオディナミ」という2つの農法が存在することは、昨今のブームでしばしば耳にしているかもしれない。とはいえ、明確にこの違いを述べることができる人は少ないハズ。まずは、この2つの違いを説明するとしよう。

ビオロジック(有機農法)

1991年にヨーロッパ連合(EU)で定められた有機食品の中で、ブドウ栽培については次のように定義付けられている。

  • 化学肥料や農薬(除草剤や殺菌剤、殺虫剤、防カビ剤)を使用しない
  • 有機肥料を使用する場合は、EUで認証されたものだけを使用
  • 遺伝子組み換えや放射線処理は禁止とする
  • 上記の3項目を植え付け前最低2年間、最初の収穫前3年間以上実施している

酸化防止剤(SO2)使用についての定義は、EUの定める一般的なワインの基準とさほど変わらないが、暗黙の了解で極力少量の使用に留めるように努める生産者も多い。フランスにおけるビオロジック・ワインの認証機関は、以下のようなものがある。

  • エコセール: EU諸国に拠点を持つ欧州最大にして世界最大級の認証機関。本拠地は、フランス南西部トゥルーズにある
  • ナチュール・エ・プログレ: フランス全土に拠点を持つフランス最大の機関
  • アグリキュルチュール・ビオロジック: フランスを中心としたEU諸国などに支部を持つ

ビオディナミ(生力学農法)

オーストリアの人智学者、ルドルフ・シュタイナー(1861年~1925年)が提唱した農法のこと。ビオロジックと「"農薬を使わない"は共通項だが、大きく違うのは農作業を月、惑星、星座の位置を記した「播種カレンダー」に基づいて行う点、プレパラートと呼ばれる自然な素材由来の肥料(牛糞、ノコギリ草、タンポポなどを牛の角や腸などに詰めて土の中に埋めておいたもの)を畑に撒いて、土壌の活性化を図る点である。

牛糞を牛の腸に詰めるとは、なんとも……な作業で、何も知らずに周囲から見ているとやや不安になる内容なのだが、ビオディナミにおいてはこれらの作業が重要となる。また、酸化防止剤の使用量はビオロジックよりも極端に少なく、中にはまったく使用しない造り手もいる。認証機関はデメテルが最も有名。

ちなみにどちらのビオも、定義さえ貫いていれば認証機関から認証を受けるのも受けないのも自由である。