Mac OS X Snow Leopardレポート集となる
【レポート】話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(1)
【レポート】話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(2)- 64bit時代の到来
【レポート】話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(3)- 互換性の謎を解く
【レポート】話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(4)- 64bitカーネルを試す
【レポート】話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(5) - CUIの世界
話題のユキヒョウを追う「Snow Leopard、ココに注目」(6) - 入力システム
もあわせてお楽しみください。

旧Mac OSから引き継がれた「Finder」は、必然的にCarbonアプリとしてMac OS Xにおける歴史を重ねてきた。しかしCarbonからCocoaへ移行するというAppleの方針、およびCarbonが64bit環境に完全対応していない事実、そして今後は積極的に機能強化されない(であろう)という時流の変化を受け、Snow LeopardではCocoaベースに書き換えられた。

Cocoa化された直接的なメリットは、最新かつメインストリームに位置する技術を将来にわたりコミットされたことにあると考えられるが、筆者の場合は「Emacsのキーバインドが利用可能になった」ことが大きい。レポートの最終回では、そのTIPSを取り上げる。同機能について詳しくは、『【コラム】OS X ハッキング! 第103回「Cocoaアプリのキーバインドにこだわる(1)」』をご参照願いたい。

ファイル名の先頭部分に注目。UNIX環境に不慣れな方にはピンとこない画面写真だろうが、[Control]+[A]キー(C-a)で行頭にカーソルがしっかり移動している

ファイル名の変更を例に説明してみよう。Finder上でアイコンを選択し、Enterキーを押すとファイル名を編集可能な状態となるが、これまでは編集作業にカーソルキーを使わなければならなかった。しかし、Cocoa化されApplication Kit(のNSTextView)に含まれる機能が利用可能になったことにより、[Control]+[A]キー(C-a)でカーソルを行頭へ移動し、[Control]+[K]キー(C-k)でカット、といったEmacsライクな編集作業が可能になったのだ。もちろん、[Control]+[B]キー(C-b)も[Control]+[F]キー(C-f)も[Control]+[H]キー(C-h)もOK、長年培った"手クセ"が存分に使える。

イジェクトできないイライラにサヨナラ

長年Mac OS Xを使い続けていれば、Finderから外付けHDDやメモリーカードをイジェクトしようとして拒否された、という経験を誰しも持つはず。しかしダイアログには「取り出せませんでした」と表示されるばかりで、理由は一切なし(筆者の場合、Terminalでカレントディレクトリが外付けHDDにあることを忘れていたことがほとんどだったが……)。

Snow Leopardでは、この問題がほぼ解決されている。試しにTerminalで使用中のディスクをイジェクトしたところ、「"ターミナル"がこのディスクを使用しています」と表示された。さらにその問題を解決しないまま、Emacsでもディスク上のファイルを開いたところ、今度は「"ターミナル"および"Emacs"がこのディスクを使用しています」にメッセージが変化した。さり気なく気が利いている、Snow Leopardらしい改良と思うがいかがだろうか。

イジェクトできない理由が表示されるようになった。原因が複数ある場合でも対処してくれる