Mac OS Xユーザにとってベストなテキストエディタを探すレポート集
機能充実、旧Mac OS時代から多くのユーザに支持されている「mi」
Snow Leopardを快適にする - どれがいい? 自分にベストなMacのテキストエディタ
もあわせてお楽しみください。

Macユーザ向けテキストエディタレポートの第3回は、「GNU nano」(以下、nano)をお届けする。もちろんiPodのことではなく、picoライクな軽量テキストエディタだ。Terminalでプレインテキストを編集する場面がときどきあるが、viやEmacsはどうも……というユーザにお勧めしたい。

「GNU nano」が役立つ場面

Mac OS Xを長く利用していると、Finderではアクセスできない/しにくい領域にあるテキストファイルを編集する場面に出くわすことがある。たとえば、シェルのスタートアップファイル(ex. ~/.bashrc)など、いわゆる「ドットファイル」。/etc/usrなどのUNIXとしての互換性を維持するためのディレクトリも、ファイルダイアログの表示対象外かつ管理者権限がなければ上書きできないことから、Cocoa/Carbonベースのテキストエディタでは利用しにくい。GUIのテキストエディタは、ふだんの作業を行うにはそれだけで十分だが、UNIXとしての機能にアクセスしようとすると、Terminal上で動作するテキストエディタは必携といえる。

nanoは、そのような場面に役立つテキストエディタだ。Mac OS Xに標準装備のTerminal上で実行されるCUIベースのエディタであり、ドットファイルへのアクセスも問題ない。カーソルキーを用いたCocoa/Carbonアプリで一般的なスクリーンエディットが可能であり、viやEmacsのように独特な操作性は持たないため、UNIXに不慣れなユーザも扱いやすい。画面下にその時点で必要なショートカットキーが一覧されるので、操作に迷うこともない。UNIXの領域に一歩踏み出したユーザにとって、もっとも取り組みやすく実用的なテキストエディタの1つといえるだろう。

Terminalで「nano」とタイプしてnanoを起動すると、画面下部にそのとき使えるショートカットキーが表示される。初めて使う場合も操作に迷うことはないはず

ただし、Mac OS X Snow Leopardに収録されたnanoは、国際化機能を無効化した状態でコンパイルされているため日本語文書を扱うことができない。ソースコードから再コンパイルすれば対応できるが、上述したnanoの長所を重視するのであれば、そのまま利用しても構わない。ここでは、デフォルトの状態を前提に、nanoの基本設定を行ってみよう。

まずは使いやすくカスタマイズ

nanoは初期設定のままでも十分使えるが、スタートアップファイル「.nanorc」を用意したほうが使いやすくなる。オプションはオンラインマニュアル(man nanorc)で一覧できるが、有用と思われるものを以下のリストにピックアップしたので、「~/.nanorc」として保存してみよう。

なお、勝手に改行を入れることを禁止する「set nowrap」も有用なオプションだが、Mac OS X Snow Leopardでは、デフォルトでシステムワイドなスタートアップファイル(/etc/nanorc)に記述があるため、ここでは省略している。

1: #set nohelp    ## ヘルプを表示しない (ここではコメントアウト)
2: set autoindent    ## オートインデントを有効にする
3: set smooth    ## スムーズにスクロールする
4: set suspend    ## [Ctrl]+[Z]キーでサスペンドする(fgで復帰)
5: set tabsize 4    ## Tabの長さを4文字分にする
6: set tabstospaces    ## Tabをスペースにする